【聖F学】エリンジュームの花束を。【派生作品】 (ページ37)

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ナハトの言葉を聞いて、さっきまでちょこんと膝を抱えて座っていたショコラがスッと急に立ち上がる。

そして、ナハトに背を向けた。

なんだろう。

恥ずかしいような優しい、温かい気持ち。

これをそのまま、貴方に伝えたいと思うのだ。

明るく光る三日月を見上げながらナハトとは違う方向を向いて言った。

照れ隠しのように、背中で手を組みながら少し、大きな声で言った。

｢そっか。……ナハト、ありがとう。じゃあ、私もぜーんぶ……

ナハトにあげる。｣

彼女はそう言って、今までナハトが見たことないくらいの太陽のような明るい笑顔を浮かべて、くるりと振り返った。

スカートがふんわりと風に揺られて、珍しく下ろしている長い真っ白な髪が月明かりに反射してキラキラと輝いてるように見えた。

少しだけ照れくさい、素直な気持ち。

これを愛と呼ばないなら、一体、人はこんなものを、なんと呼ぶのだろう。

大人が見たら、ただの子供の遊びだ、なんて笑われてしまうかもしれない。

それでもショコラにはこのナハトとの時間が何よりも大切に思えた。

ナハトは、ショコラよりも優しい明るい笑顔でショコラに歩み寄った。

そして、大きく両腕を広げた。

ナハトはないも言わないまま、優しい笑顔を見せた。

何も言わなくても伝わったショコラは走って思いっきりナハトに抱きついた。

お互いの鼓動が聞こえるくらいの距離。

ナハトの体温も伝わってきた。

ショコラはナハトの耳元で小声で呟いた。

｢ナハト、大好きだよ。｣

そんなに言った瞬間、ナハトの耳が紅く染まったように見えた。

ショコラの気のせいかもしれない。

たったその一言なのに、何故かその言葉には重みがあって簡単には分からない、暖かさがあった。

そして、そのままショコラはナハトの唇にそっとキスをした。