(2) ページ16
,
ナハトの言葉の意味を、ただただ考えながら歩くショコラ。
アズーロカレッジまでの道のりが何よりも遠く感じた。
この廊下も、普段は人混みに紛れながら、必死に歩いているのにこんなときだけ、何故か誰もいなかった。
歩いているのはショコラ、たった独りだった。
「そりゃあ、ロッソカレッジの人とアズーロカレッジの人じゃ釣り合わないかも知れないけどさ……。」
暗い表情のまま、俯いてとぼとぼと歩く。
「あはは。何がダメだったのかな…？」
ただ、ひたすら涙を堪えて歩く。
いつか聞いた話。
人間は口角をあげるだけで、脳が笑っていると感じて、気分が上がるらしい。
笑ってみたが何も変わらない。
「何もかも、嘘なのかな……。」
ナハトとの今までの時間まで無意味だったように感じて、何もかもを疑ってしまいたくなる。
怖くて、不安で………。
歩いているうちに、いつの間にか寮についていた。
柄にもなく、バタンッ、と強くドアを固く閉じた。
「ショコラ！ドアはもう少し丁寧に……」
「…う"ぅ。うぇー…。ﾋｯｸ、うぅー。」
「…！？どうしたの！？」
部屋に入った瞬間、張りつめていた細い細い糸が、プツンと切れてしまった様に、声を上げて泣き出してしまったショコラ。
雑なドアの閉め方に、怒ろうとしていた、ルームメイトのスノーが驚いた表情を浮かべる。
泣きすぎて上手く話せないショコラを見て、背中を擦ると、「少し休みなさい」と、ショコラを1人にしてくれた。
ショコラはベッドに倒れこみ、
ショコラは泣き疲れてしまった様で、いつの間にかそのまま眠っていた。
「遅い。早く来い。」
尖った八重歯を覗かせて、不敵にニヤリと笑ながらショコラを呼ぶナハト。
「ちょっと待ってってば。」
ナハトの方に、嬉しそうに走っていくショコラ。
そこで声は途切れた。
「夢…か。」
ショコラが嫌われていることを強く感じる夢。
その時、スノーが部屋に戻ってきた。
「ショコラ、ナハトが倒れたって…。」
「え！？」
「行かなくて良いの？」
「でも、私じゃ……。」
「別に、行かなくても良いのよ？貴女が後悔しないなら。」
「行ってくる。医務室でしょ？」
「えぇ。いってらっしゃい。」
ショコラは勢いよく立ち上がり、ケープを羽織らずに持ったままで、走って部屋を出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
