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ナハトは大きく深いため息を長ーくしながら廊下をだらだらと歩いた。面倒だ。晴れてるし、クラスの奴がニンニク臭くて嫌だし。ニンニクは嫌いだ。
昨日魔法を使ったせいか、身体がだるい。だるいのはいつもなのだが。
今日も今日という日が始まってしまって、正直うんざりしている。ナハトは少しでも日光を避けようと、図書室に向かった。
日は当たりにくいし、静かだから昼寝するには丁度いい。サボるにはうってつけだ。
…お前が居なければ。
「だからアンタとは縁がありそうで嫌だって言ったんだよ………」
「えっ、あ、ナハトさん!」
そこには友人と肩を並べて本を読むショコラがいた。ショコラは窓際の席で、ナハトを見てガタッと立ち上がってぺこりと頭を下げた。
「いーよ別に。邪魔するつもりなんてねーし。オトモダチとの時間を邪魔して悪いな」
「えっいえそんな…!」
本棚の奥側から生徒の声が聞こえる。ナハトを見て驚いているのだろう。授業以外、大体どこかへ出ていって見ていないのだから。
珍しいとも言えるだろう。何をコソコソ話しているんだ、とナハトがぎろりと睨むと声は止んだ。
「…じゃ。人がいるからオレは違うとこに行く」
「あ、待ってください!」
「…………なに」
「あの、一緒に本読みませんか」
ショコラはナハト相手に一生懸命伝える。自分でもなんでそんな突拍子もないこと言ったのか分からないようだが。
ナハトはもっと分からない。魔法の才能が神から与えられなかった、といつも信者からは忌み嫌われ、一緒に本どころか魔法の使い方さえ教えてくれなかった。
「な………んで」
流石のナハトも素っ頓狂な顔をしている。まるで目の前に物凄く珍しい魔法を使っている人がいるだとか、いやもっと凄い衝撃を受けた。例えばナハトに魔法の才能があったとか言われたみたいな。
「だ、ダメですかね……そ、そうですよね!すみません…あはは」
と苦笑いしながら謝って、ショコラは一礼してまた本を読み始めた。
「…………はァ」
ナハトは近くの本棚から適当に本を1冊抜き取り、ページを捲りながらショコラの隣に座った。
ショコラは目を見開いて驚いた。
「何?…まさか、自分から誘っておいて嫌なんて言わないよね?」
「…いえ、嬉しいです!」
と、嬉しそうにショコラは笑った。
ナハトはそれを見て何を思ったか暫くショコラを見詰めると、下に視線を落として本を読み始めた。
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