大事 ページ5
休み時間、アクビをしながら廊下を歩く。
光で満ち満ちた廊下は、見ただけでわかるほど暖かい。
「一ノ瀬、どこ行くの?」
トイレに向かう友人に聞かれる。
「ひなたぼっこ」
と、俺は短く返した。
すると、
「……いてら」
とやや引きぎみの表情で言われた。
「なんだ?あ?おじいちゃんみたいって言いてーのかコラ」
背中のツボを親指で押す。
「痛い痛い痛い、やめてツボ!ツボ痛い」
「謝らないとダメ」
「ごめんごめんなさい許して!」
ゴリッと肘で押してやった。
時間が無くなるのでさっさと外に出る。
「はぁぁああ」
今日は暖かいけど、風は涼しくていい。
太陽も、程よく俺を暖めてくれた。
「アラ、静夜さんじゃナイでスカ」
「あ、アイリーン」
廊下の窓から顔を出すアイリーン。
「一人で日向ボッコでスカ?」
「うん。今日丁度いいし。眠くなってきたわぁ」
「授業始まッチャいマスよ」
「別にいいし」
「ダメデス!一級の資格、トリタイんでショウ?」
「なんでお前が知って……うおっ、やめろ!」
引きずられて廊下に戻される。
ちっ、なんだよ。
「アウラさんノ為ニ、一級の資格トルんでショウ?ナラ、サボっちゃアダメデスよ」
「………………確かにそうだけど。そういうお前はどうすんの」
「私デスか?決まってナイですヨ」
「そ。卒業までに決めとけよ」
「ハイハイ、分かっテマスよー!」
ニヤニヤと彼女独特の笑い方でからかってくる。
「ソレデ、資格トッテ、どんなコトを?」
「どんなことって……。普通の家庭を築く……くらいしか」
「あと誰かの為に…………、だろ」
「うわ、羽波いつの間にいたのかよ」
横からひょいっと出してきたのは夜鶴羽波。
今度は羽波が座っている俺を引きずり出した。
「………………授業始まるぞ」
「や、羽波!俺ジャージだから摩擦で破れる
から!やめて穴あく!」
自分で歩く!と手を離してもらう。
廊下を歩きながら話す。
「……そんなに彼女が大事なんだな。…………結婚するのか?」
「行く行くは……したいけど。まあアウラが
卒業するまで俺らが付き合ってたらの話」
「………………おめでとう」
「話聞いてたか羽波」
お前のことだから聞いてないんだろ、要所しか。
「いいか!夜鶴!耳かっぽじって聞けよ!」
「…………耳…これ以上穴は広がらない」
「違う羽波、そういう意味じゃない」
羽波の天然発言をフォローしながら歩く俺だった。
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カレーライス(プロフ) - クシナデソーマさん» 出させていただきました〜!(笑) (2018年6月5日 4時) (レス) id: a859e8d67f (このIDを非表示/違反報告)
クシナデソーマ(プロフ) - 那奈でたぞぉぉぉ!うおぉぉぉ! (2018年6月4日 22時) (レス) id: 5c1e0f6f03 (このIDを非表示/違反報告)
カレーライス(プロフ) - MILKさん» ありがとうございます!頑張ります!続編の漫画?のようなあれ、楽しみにしてます! (2018年6月2日 2時) (レス) id: a859e8d67f (このIDを非表示/違反報告)
MILK(プロフ) - こんばんは〜。ちょっと遅れましたが続編おめでとうございます(´∀`)お互い自分のペースで楽しく更新していきましょ〜。あと、こちらの本編で大変な事になったアイリーンですが、お好きに動かしてくださって構いません。更新楽しみにしてますね〜! (2018年6月1日 22時) (レス) id: 008b1269d6 (このIDを非表示/違反報告)
カレーライス(プロフ) - 美桜さん» そう言って貰えるととても嬉しいです!ありがとうございます!美桜さんの小説も見に行きますね! (2018年5月31日 17時) (レス) id: a859e8d67f (このIDを非表示/違反報告)
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