死神志望でも恋はする。【３】

嫉妬 ページ20

ムスッとした顔でクッションを抱き締め、アウラを見つめる静夜。

アウラは困り果てているようだ。

……なんでこうなったのか。

それは実に単純であり、小さく、幼稚である。

事の発端は放課後。

静夜が部活から戻ってきた時の事である。

静夜は廊下でアウラを見かけた。

「！」

…いや、アウラと御影を見付けたのだ。

二人は料理やお菓子作りの事でも話しているのか、とても楽しそうだ。

それに、静夜が嫉妬をしたのだ。

「…………俺だってお菓子作りくらいできる」

「わかってますよ、大丈夫です」

困った顔で静夜を宥めるアウラ。

静夜はすっかりご機嫌斜めのようで、クッションをぎゅう〜っ、と抱き締めて離さない。

おまけにちょっとアウラを睨むほど。

まあ、そこにも静夜の優しさは表れているようで、そのアウラを睨む目さえ愛を帯びていた。

さっきも言ったように、理由はとても単純で、小さく、幼稚だ。

駄々っ子……と言うのも変だが、なんとなく思い浮かぶのはそれだ。

「……………………」

俄然ムスッとして一歩も動こうとしない静夜。

…あんなに強く抱き締めていると、クッションの綿が出てきそうだ。

と言っても、静夜も決してアウラが浮気したなど思ってもいない。

言ってしまえば、構ってほしいのだ。

御影と楽しそうに話していて寂しくなったので、構ってほしい。それが彼の心情だ。

俗に言う、構ってちゃんである。

「静夜先輩、これ、どうぞ」

「……なにこれ」

アウラは小さな小包を差し出した。

「お菓子です。御影さんから、先輩は甘いもの
を食べ過ぎるとすぐ胸焼けしてしまうと聞いたので、甘さ控えめのものにしたんです」

「……ありがとう」

へにゃ、口角が上がっている静夜。

嬉しそうだ。

瞬間、アウラは静夜の腕の中にいた。

「……ちょっと意地悪したカモ。半分本気なんだけどさ」

「もう、静夜先輩、ああなったらどうしようもないんですから」

いい加減にしてくださいよ？と注意するアウラをよそに、静夜はお菓子を二つとった。

一つは自分の口の中へ、もう一つは……

「あーんして」

アウラの口の中へ。

珍しく静夜は隠すことなく、満面の笑みを浮かべ、

「ごめんな、ありがとう」

と言った。



――――――――――――――――

説明文にも書いてあるように、お話の出来事？募集しています。

恋愛の話だけでなく、うちの子を出してほしい！などでも全然いいです。

ご協力よろしくお願いします！

進路相談→←その３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す