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数分後、トールは少年を抱っこしながら、ロキを先頭に歩いていた。ロキは楽しそうに笑いながら大きな声で言う。
「スカルの息子がいる狼男! 出てこないと、お前の息子がどうなるか分からないぞ! 息子を返して欲しければ、お菓子を寄越せ!」
「お兄ちゃん達海賊なの?」
「それもと〜っても悪いね。このままお父さんが来なかったら、私達が攫っちゃいます」
トールが笑うと、少年も楽しそうに笑い声を上げた。
背後にある様子を横目で見て笑っていると、少年の名前を呼びながら走ってくる狼男の仮装をした男性が現れた。父親のお出ましか? と思っているとやはりそうで、少年は「お父さん!」とさっきにも増して表情を明るくして笑った。
トールから息子を受け取った男性は、二人に深々と頭を下げる。
「すみません、ありがとうございます…!ご迷惑をお掛けしました、皇帝陛下…!」
ロキとトールは顔を見合わせる。ロキは悪戯っぽく笑うと、「皇帝? 知らない奴だな」と言った。
「俺達は海賊だ。畏まられる義理はないな。海賊に向かって頭を下げてる暇があったら、早く恐れおののいて逃げたらどうだ? 悪戯が降り注ぐ前にな」
男性は「ありがとうございました」と笑うと、少年と手を繋いで行こうとした。…が、少年が途中で戻ってきた。不思議に思っていると、少年は2人に向かって「しゃがんで!」とめいいっぱい見上げながら言った。
ロキとトールは少年の前にしゃがむ。次に、「手を出して」と言われた。ロキは右手を、トールは器にするように両手を差し出した。すると、2人の手に一つずつ、ジャック・オー・ランタンの形をしたクッキーが置かれた。
「海賊さん! またね!」
「もう迷子にならないでね」
トールは、走り去っていく少年に手を振って見送った。
ロキは既に口にクッキーを咥えていた。ロキは「行くか」と言った後に感心したように言った。「これ、パンプキン味だ」
「ロキ様! トールさん!」
集計所に行くと、目立つ白と黒の頭髪の青年を見つけた。ヘルだ。ヘルは二人を見つけると嬉しそうに手を振る。片手に提げる籠には、沢山のお菓子が入っていた。
ヘルはロキとトールのお菓子の量を見て目を見開く。
「どうやってそんな量集めたんですか?」
「そっちこそどうやって……。あ…お前の事だから真面目に探したんだろ…」
ロキは「これだから真面目な奴は」と軽く溜め息を吐くと、「当てられたらお菓子やるよ」と言ってヘルより前に出た。
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