◆ ページ13
【過去】
ヘルは、その時「二ヴル」と呼ばれていた。
三兄弟の末のヘルは、まだ物心も付かぬ赤子の日、アースガルデン帝国の郊外にある比較的廃れた町に、三兄弟丸ごと捨てられた。片父は既に死んでおり、もう片方の父が、女性に恋をし駆け落ちしようとしたのだ。父は、泣きじゃくる3人の子供を置いて逃げていった。
ヘルは、生まれる前の脳の異常で、下半身が思うように動かなかった。加えて、右目の視力も低かった。悪目立ちする見た目のせいもあり、白い目で見られる事が多かった。
道行く人は、ヘルを見て「アースガルデン帝国の汚点」と言うのだ。何故なら、科学力のもと五体満足で生まれた人達からすれば、ヘルはアースガルデン帝国の失敗作だったから。ヘルは、いじめの格好の的だった。
いじめっ子達は言う。「避けてみろよ」動けないヘルに対して、子供達は石を投げつけた。
ある日、ヘルは考えてみた。なぜ自分がいじめられているのか。何故弱いのか。
兄二人を見る。長男は弟二人を何とか食べさせてあげようと幼ながらに必死だ。次男は長男を支え、末のヘルを守ろうと頑張っていた。二人とも強い人だ。では、自分は何故弱い？ ヘルは気が付いた。自分が何もしていないから弱く、いじめられるのだと。守られているばかりで、行動を起こさないからだと。
その日、一人で外に出た。いじめっ子達は、兄二人がいないのをいい事に、早速虐めようとやってきた。そこで、ヘルはポケットに入れていた石を握りしめる。
ヘルは言う。「避けてみろよ」五体満足で動けるいじめっ子に対して、ヘルは石を投げつけた。練習したおかげで、一つ残らず命中させる事ができた。ヘルは理解した。弱いままだから虐げられる。虐げられるのが嫌ならば──強くなって牙を剥け。
7歳の時、何かの視察か、三兄弟が住む荒廃した町に人がやって来た。大人達に囲まれて一人歩いている少年は、三兄弟に気が付いて、大人達に「待て」と言い、三兄弟に歩み寄ってきた。「君ら、ここに住んでるのか？」得体の知れない少年に対し、弟を守ろうとした長男は、あろう事か、少年の腕に噛み付いた。
少年は驚いて飛び退くと、「誰に噛み付いてるのか分かってるのか？」と言った。三兄弟は知らなかったが──その少年こそ、アースガルデン帝国の皇帝となる14歳の頃のロキ・キングキャスリングだった。ロキは捨て子だと言う三兄弟を面白がると、「なら俺に預かられて問題ないな？」と笑った。
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safia*(プロフ) - ありがとうございます！ボードの方にお邪魔しても大丈夫ですか？ (2020年11月21日 20時) (
レス) id: 8e1c09fa0a (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - safia*さん» コメントありがとうございます。是非組ませて頂きたいです！ (2020年11月21日 20時) (レス) id: 62819c8559 (このIDを非表示/違反報告)
safia*(プロフ) - コメント失礼致します！【技術開発局局員、ヴィクトール・ロンベルク】でこの企画に参加しています、safia*と申します。よろしければ関係組んで頂けないでしょうか...？ (2020年11月16日 8時) (レス) id: 8e1c09fa0a (このIDを非表示/違反報告)
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