【Mostro Mask】しあわせの箱庭【派生作品】 (ページ8)

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「(皆は分からないって言うだろうねぇ、…オレが変なんだもんなぁ)」
「あ、あの、セオくん…！」
「あ～？何？」
「その、顔を放してくれないと…！」
「……あーごめーん。握り潰せるかな？って考えてた！」
「に、握り潰…！？」

　そうした方法じゃないと愛を確かめられない自分は、歪んでいると
分かっている。でも、物足りないのだ。
　ただ一緒にいるだけじゃ、心の中では嫌がってるんじゃないかって、君みたいに怖がって逃げたがってるんじゃないかって思うんだよ。ねぇ、そうでしょ？でもいじめたあとにまた現れる君を見たら、安心できる。

　脳で理解できない程馬鹿ではない。けれど、なんでか空いた心の穴が、理解を超えて、普通の愛の表し方では当てはまらないのだ。

「ウソウソ、ちっちゃい時はこのホースでナターシャちゃんをいじめたなーって思っててさぁ…ぴーぴー泣いちゃって。ナターシャちゃんってほーんと泣き虫」
「えぇ…それはなんだか…ごめんなさい？」
「謝る基準3cmなの？ひっく。プライドは高い方がいいよー、身の丈に合わせてね。別に怒ってないよ～、あれから〝やり過ぎ〟の線引くようにしたし、それに」

　──オレが変なんだなって思った。

「…それに？」
「うーん…なんて言おうとしたか忘れちゃったァ、気にしないで。それよりもお花摘みに来たんでしょ？お店に飾る」
「う、うん！よくわかったね！」
「ナターシャちゃんの事小さい時からずっと見てるからね。どれにする～？オレも一緒に摘んであげる！」

　花壇の前にしゃがむと、ナターリアも隣にしゃがむ。こうしてやっと、ナターリアとの視線が近くなる。それでもセオの方が高いのだが。

　並んで咲いているコスモスの中から、優しい桃色を一輪摘み取る。隣に座るナターリアの髪を掻き分け、コスモスを耳に掛けた。

「ナターシャちゃんは、こういう淡い色が似合うねえ。コスモスは何色でも似合いそうー、色薄いから」
「え？あ、えへへ、ありがとう…」

　何輪かの花を摘んでから、ナターリアは「ありがとね」と言ってバルカの中へ入っていった。
　ナターリアが見えなくなってから立ち、もう一度ホースを持つ。水やりしろって言われてたのにしてなかった。