【Mostro Mask】しあわせの箱庭【派生作品】 (ページ11)

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◆路地裏の謀議ページ11

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「ふぁ〜あ、暇だな〜」

　バルカの開店時は、最年長以外、店内にいてはいけない。
　その時間が、セオにとって何よりも暇な時間だった。あまり騒いでは、従業員以外に人がいるとバレてしまうし、かと言ってじっとしているのが得意な性格でもない。
　となると、皆は暇を持て余す。この時間帯は、ほとんどが書斎に言って本を読んだり絵を描いたり、勉強したりして過ごす。ペラペラの紙に印刷された文字を読んで何が楽しいのか、セオには理解できないが。

　昼寝でもしようかなぁ。滅多に眠らない体質だが、暇過ぎる故にそんな結論に至る。
　寝室となっている男子用の大部屋に向かう途中、開け放たれた女子用の大部屋に人影が見えた。顔を出して声を掛ける。

「あ、誰かいる〜」
「あら、セオ。どうしたの？」

　そこに居たのは、アゾット兼仮面を持つマリエル。
　セオはニンマリ笑って、「ん〜ん、なんでもないよぉ。暇だったから」と返す。マリエルは「そう」と返すと、そのテレビ型の仮面を床に置いた。

　あれはマリエルちゃん、外行こうとしてるなぁ。
　そう思いながら、自分のベッドの下にある宝箱を出す。中に入っているのは、小さい時に拾った綺麗な石や、誕生日の時ハンニバルに貰った小さなラジコン。
　その中からセオが出したのは、小さくまとめ上げられた黒い鞭。黒革の独特の香りと、蛇の様な艶に、うっとりと微笑む。これでモストロ(やつら)を叩くのは、何にも変え難い快楽だった。

　ふと窓の外を見る。
　空は曇っていて、雨も降りそうだ。
　窓に近付いて外を見る。外には、孤児院から出ていくマリエルがいた。休憩時間に入ったらしい。

「あーあ、やっぱりかぁ。この前カイにーちゃんに怒られてたじゃん、一人で行っちゃあだめ、ってさ！」

　手に持っていた鞭をベルトに引っ掛け、仮面を被って部屋から出る。
　部屋から出た先にいたのはカイ。蛇の仮面を着けたセオに驚き、「うわっ」と驚く。

「な、びっくりした…セオか。…どこか行くのか？」
「散歩行っていい？近く歩くだけだけど」
「んー…まぁ、近くなら一人でも大丈夫か、セオだし…。いいけど、雨降りそうだぞ？」
「傘持ってく〜」

　許可が降りたところで、セオはカイの隣を通り過ぎた。
　階段を降りていく途中で「アゾット持ったか〜」と後ろから声がかかる。「持ったァ」と返して、セオは階段を駆け下りた。