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No.147 ページ48

やっとたどり着いた

いらない存在である大人を全員殺して、皆と共に生きて行く
それが理想だった

そして、その理想が今叶ったのだ

しかし、幸福感や達成感なんて一切感じない
それどころか、この廃れた都市を見て、背徳感すら感じている

数十年前にこの世を去った自身の身体にも、まだ感情は存在することに少し、ほんの少しだけ驚愕だ
「これで良かったのか?」と問われると、僕は出来損ないの腐りきった脳で思考し、首を横に振るだろう

周りの子たちよりはかなり長く生きて多く死んだが、こうも虚しいものなのだろうか
心に穴がぽっかり開くと言うのはどうも分からなかったが、今分かった気がする

隣にいるレブルの仲間も呆気に取られている様で、目を見開いている
その横顔は、どうも儚くすぐに消えてしまいそうだった

これからどうしよう
望んだ“僕らだけの世界”になった

でも何かが足りない
その何かが分かり、手に入れば心の穴は埋まるのに

薄っすら記憶に残っている幼い生きている頃の僕は、いつも嘘を吐いて、
何も考えないで、周りの子を惑わせていた
相手の悩む顔を見て、自分の口の端は吊り上がる

「まぁ精々探せよ」そう吐き捨てるように言う奴が僕の中に居る
たまに鏡やお茶の水面を見ると自分と重なる大嫌いな顔

ここを去る人もいれば、そうでない人もいる
僕には深く探求できそうもない疑問に思考を巡らし、行き着いた答え


「僕は…みんなに…ミルクについていくよ。僕の恩人だからね〜
僕の終わりがあるか分からない人生、全部君に捧げるつもりだってある」

ゆっくりと、我らが首領に近づき僕よりいくつか高い所にある顔を見ながら並べる我ながらキザな台詞
見上げたその顔は、初めて会ったときと変わらず脆く綺麗で…。

さながら神様みたいだなんて思ったりした
でも、この子もちゃんと人間なんだ
僕より先に逝ってしまうかもしれない。現に危ないのも何度かあった

終わりのあるか分からない人生に終止符でも打てればいいのに
キョンシーを名乗るこの僕自身を僕が殺せればいいのに
いっそのこと死んで虚像になれば、もう少しは楽なのだろう


「僕、随分前に腐っちゃってるからさ

我不能再想這麼多了。」

_この位しか考えれない。


その言葉に僕の吐き慣れていた嘘は微塵も存在しない
大嫌いな顔も、この言葉には一切顔を出さない

何故だか知らないはずの僕が名乗る怪物の発祥地の言語を口が紡ぎ
普段は付けない、未だに何と読むか分からないお札の奥で精一杯に笑った

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花梨(プロフ) - 皆さまお疲れ様でした〜 (2018年9月14日 22時) (レス) id: e3aad0174a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - お疲れ様でした!あまり参加出来ずにいて申し訳ありませんでした…!本当にありがとうございました!! (2018年9月14日 21時) (レス) id: 6dddb2cb16 (このIDを非表示/違反報告)
睦都(プロフ) - 初めからずっと見てました!主催者様、参加者様の皆様お疲れ様でした!剣士君たちとても好きです(*^^*)ほんとうにお疲れ様でした (2018年9月14日 19時) (レス) id: 3a040f6594 (このIDを非表示/違反報告)
羊素。(プロフ) - 遂に完結ですか…少し寂しい気もしますが、主催者様、及び参加者の皆様、お疲れさまでした。 (2018年9月14日 5時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - お疲れ様でした! (2018年9月13日 18時) (レス) id: c46d432f11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カレーライス x他10人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年8月4日 11時

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