No.142 ページ43
「何処へ行く気なんですか」
参ったなと斎槻は心中でごちる。
よりにもよって面倒な少女に絡まれた。それは自身の両親殺しを疑う純粋な少女──聖園瑠璃歌である。
彼女は以前から斎槻の真相を暴こうと突っ掛かってくる厄介者だった。臆病な癖によくこの殺人鬼に絡めたものであると感心する一方、愚者だとも思っていた。
何故なら、全く見覚えの無い事で彼女は疑いを掛けているからだ。つまり、冤罪である。
瑠璃歌はその目で両親の無残な姿を目撃しているが、斎槻はそんなヘマはしない。遺体ごと証拠全てを消し去るのが彼の殺しに対する拘りである為、殺して放ったらかしにする事はまず有り得ないのだ。
いつも通り適当に遇らって追い返そうとするが、今回ばかりはそう簡単には行かなかった。
「この期に及んでまだ突っ掛かるのかい? 僕は本当に知らないんだよ」
「違います。私は、貴方は何処へ行こうとしているのかを聞いてるんです」
(怯えている割には、無駄に鋭い)
殺したか否かでは無い。彼女は純粋に“何処へ行こうとしているのか”を聞いてくる。
正直この手のタイプが一番嫌いな斎槻は少し苛つきながら、震えながらも強い眼光を放つ少女にあくまで冷静に、真実を隠しながら言葉を返す。
「僕が何処へ行こうと勝手だろう? 第一、君に何が分かる」
「分からないです。だって、貴方は肝心な所で何も言わないんですから。今も何を企んでいるんですか」
「企むだなんて、人聞きの悪い」
「質問を変えましょう。皆と一緒では駄目なんですか」
核心を突く質問だった。
心臓を一突きされたそれに、斎槻の苛立ちは最高速で頂上に達する。
「まさか、寧ろ喜ばしい限りだよ。でも、君達と一緒に居ると僕は腑抜けになってしまうから、とっととお暇しようと思っただけだよ」
「そんな無責任な……」
「聞こえなかったのか、迷惑だって言ってんだよ」
ヒッ、と少女は怯んだ。視界が涙で滲む。
男の目はとても冷たかった。零下273.15度の天然樹脂の化石と明確な殺意。罪の無い魂を毟り取ってきた鬼の姿がそこにあった。
この男は本当にレブルで壱番隊隊長を務めていた男と相違ないのか、一瞬だけ疑ってしまう。相違は、無い。
「さよならだ。もう会う事は無いだろう」
「ま、待って!」
「それと聖園さん、この紙に書かれた内容は君にとっても有益だ。存分に使ってくれよ、人生逆転のチャンスだから」
ポシェットから取り出された蝶を象る一体の折り紙は、優雅に舞いながら瑠璃歌の掌へと収まった。
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花梨(プロフ) - 皆さまお疲れ様でした〜 (2018年9月14日 22時) (
レス) id: e3aad0174a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - お疲れ様でした！あまり参加出来ずにいて申し訳ありませんでした…！本当にありがとうございました！！ (2018年9月14日 21時) (レス) id: 6dddb2cb16 (このIDを非表示/違反報告)
睦都(プロフ) - 初めからずっと見てました！主催者様、参加者様の皆様お疲れ様でした！剣士君たちとても好きです(*^^*)ほんとうにお疲れ様でした (2018年9月14日 19時) (レス) id: 3a040f6594 (このIDを非表示/違反報告)
羊素。(プロフ) - 遂に完結ですか…少し寂しい気もしますが、主催者様、及び参加者の皆様、お疲れさまでした。 (2018年9月14日 5時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - お疲れ様でした！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c46d432f11 (このIDを非表示/違反報告)
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