No.104 ページ5
熱風を切り、若干の早足で歩きながら、輝くカラスや蝶達に仲間達を守れと命じて空に飛ばす。
何よりも大切な仲間達は当然守りたい。だがしかし生憎彼は首領という立場であってもお子様で、未知と想像によって作られる興味と好奇心には何よりも弱い。赤ん坊が何でも口に入れることと一緒で、気に入ったものは何でも内に取り込みたい性格らしい。
結果拠点には戻らず、光達を飛ばすだけに止まった。彼自身、実はこの行動を取った自分自身が憎い一面もあったが、快楽を求める心を理性で抑えておけないのが子供であり、仕方がないしどうしようもなかった。
そうして熱風の中を歩く内に、トラックの周辺に集った数人の大人達と、拡声器を持ったリーダーらしき人物を見つける。
彼は息を呑んで笑顔を作ると、自分とそっくりになった人形の首をしっかり吊って腰に提げ、純白の剣を引き抜いて大人達に近寄った。
拡声器を手に何かを喚き続ける人型を背後から突き刺し、力を込めて蹴り飛ばす。
噴き出た血をひらりと避けるまでのこの動作、以前何処かの屋敷でもやった記憶があり、彼はその時と今では同じ事をしていても心持ちが違う事を実感する。
いつの間にか沈んでいた。狂気の海に、苦しみで出来た喜びの波に。
人型が切られた大木のように倒れると共に悲鳴が上がり、それが拡声器を伝って木霊した。
このうるさい不協和音も、あのゴミの集まりを消してしまえば静かになる。
純真無垢な少年らしく無邪気に目を輝かせ、とても楽しそうな笑みを湛えた彼が、逃げ惑うか無駄な抵抗をするかの人型を肉塊に変えていく。
すると、不意に彼の背後から伸びた水色の何かが人型を同じように突き刺した。
「……林檎!」
「ミルク、めんどくさそうな事やってるね。手伝う。……あと、かわいー助っ人サンもいるよ」
見れば彼女の背には数名の子供達が付き従っており、竹刀や包丁、中には物干し竿やフライパンなど、思い思いの武器を手にしている。
これを武器だと思っているのは、きっとこれで大人に――
そこまで考えて、つい浮かんだ笑みを払うように首を振って、剣を構えなおす。
「どこから連れて来たんだ」と人型を串刺しにしながら彼が問うと、「付いて来たんだよ」と鉄骨のようになった髪で人型の頭を吹き飛ばしながら彼女が答えた。
圧倒的な二人を前に、怒りや絶望に沈んでいた子供達の瞳に希望が宿る。
血を被った拡声器から、戦争幕開けの狂った音色が響き渡った。
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花梨(プロフ) - 皆さまお疲れ様でした〜 (2018年9月14日 22時) (
レス) id: e3aad0174a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - お疲れ様でした！あまり参加出来ずにいて申し訳ありませんでした…！本当にありがとうございました！！ (2018年9月14日 21時) (レス) id: 6dddb2cb16 (このIDを非表示/違反報告)
睦都(プロフ) - 初めからずっと見てました！主催者様、参加者様の皆様お疲れ様でした！剣士君たちとても好きです(*^^*)ほんとうにお疲れ様でした (2018年9月14日 19時) (レス) id: 3a040f6594 (このIDを非表示/違反報告)
羊素。(プロフ) - 遂に完結ですか…少し寂しい気もしますが、主催者様、及び参加者の皆様、お疲れさまでした。 (2018年9月14日 5時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - お疲れ様でした！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c46d432f11 (このIDを非表示/違反報告)
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