No.102 ページ3
「……よっ、と 」
建物の影がゆらりと動いた。
そこから、真っ黒な影が人形となる。
「やっぱ影入り便利だな 回避にも使える」
そんな誰も聞いていなさそうな独り言を呟く。辺りは焼け野原、それでも眉一つ変えないのは何故だろう。
遠目に見えた人集りに駆け寄ってみる。
「よ、剣士」
「…お前も来てたのか」
黒く長い前髪で目は見えないが、多分いつも通りでは無いだろう。そんな事を思いつつ、辺りを見回す。
剣士が守ったのか、彼の周りだけは少しだけ壊れていなかった。きっと影で守ったのだろう。
別に会った事は無いが、何となく分かる。レブルの人間だ。それも結構な人数。
「…あー、今ここに俺は必要ないっぽいな。
俺回りみてくるから、頑張れよ、首領」
何となく背中を軽く叩いて、また建物の影に入り込む。遠くから聞こえる小さな悲鳴。その小さな音を頼りに音の根を探す。
泣いている子供達が、助けを求めて泣いている。
縋る所も無く、只々、泣いている。
「…何でだろうな」
ゆっくりと子供達に寄り添って、火から遠ざける。
何故こんな事になっているのだろう?
学校にも行けず、何も習わなかったこの頭じゃ、到底理解できない。
いや、理解したくないのかもしれない。
こんな惨状になっても尚
まだ、少しだけ
信じたいと思ってる自分がいるから。
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花梨(プロフ) - 皆さまお疲れ様でした〜 (2018年9月14日 22時) (レス) id: e3aad0174a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - お疲れ様でした!あまり参加出来ずにいて申し訳ありませんでした…!本当にありがとうございました!! (2018年9月14日 21時) (レス) id: 6dddb2cb16 (このIDを非表示/違反報告)
睦都(プロフ) - 初めからずっと見てました!主催者様、参加者様の皆様お疲れ様でした!剣士君たちとても好きです(*^^*)ほんとうにお疲れ様でした (2018年9月14日 19時) (レス) id: 3a040f6594 (このIDを非表示/違反報告)
羊素。(プロフ) - 遂に完結ですか…少し寂しい気もしますが、主催者様、及び参加者の皆様、お疲れさまでした。 (2018年9月14日 5時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - お疲れ様でした! (2018年9月13日 18時) (レス) id: c46d432f11 (このIDを非表示/違反報告)
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