No.86 ページ37
「はぁ…」
赤嶺はため息を吐き、資料の整理を続けていた。
すると、急にアラーム音が鳴る。
「どうした!?」
赤嶺が東雲に問いかけると、スピーカー越しに緊迫した声が伝わってきた。
「侵入者だ。この面子は…月詠麗華と時雨那緒だな」
「何!?」
赤嶺は驚いた表情を見せると、ニヤリと口を歪ませた。
「那緒…。戻ってきたのか…」
**********************
時間を少し巻き戻す。
食堂でも緊迫した状況になっていた。
医療部隊の隊員達と第弐部隊の隊員達が見守る中、ロストアイズが浅葱に銃口を向けていた。
「なんの真似だ、ロストアイズ。やめろ!今はそんなことしてる場合じゃないだろ?」
「それはこっちのセリフだよ。お前こそ、こんなことしてる場合じゃないだろう?よりによって黒瀬に―ラビッシュの首領に電話するなんてね」
「ラビッシュ」という単語に、隊員達がざわめきだす。
「浅葱さん、私は忘れていない。青哉が死んだのは、浅葱さんがラビッシュを抜けたからだ。お前がミルクに青哉の情報を流した。そして、戦いが起こった。」
「それは…!」
「ま、黒瀬も大概だけどね。青哉を直接手にかけたのはラビッシュの隊員だと言うのに、そいつらを庇って、「自分だけ死ぬ」なんていう独善的な考えを持ってるんだから」
「やめろよ…!シズ、いくら何でも黒瀬を悪く言うのは!腐っても、お前が背中を預けていた仲間だろうが!」
いたたまれないといった表情をする浅葱に、ロストアイズは淡々と告げる。
「戻れると思ってるの?」
「は?」
「浅葱さん。私もお前も、黒瀬も、ミルクも、もう後戻りなんてできないんだよ。突き進むしかないのさ。戻ろうとするなら、今ここで殺してやろうか?」
ロストアイズが銃口を浅葱の額に押し付けたその時、有線放送が入った。
「お前達、聞こえてるか!?敵襲だ!ラビッシュの月詠麗華と時雨那緒が攻めてきた。各自、迎撃態勢に入れ!」
「やれやれ、休む暇も無いな」
ロストアイズは拳銃を仕舞ったところへ、翠が駆けつけた。
「ロストさん!さっきの琉架からの連絡だが…」
「聞いてた。翠さん、どう動く?」
「第壱部隊は基本的な陣形に従って動く」
「それじゃ、私たちは遊撃に回るとしよう。各自、準備が出来次第、戦闘に入れ」
返事の後、各自が散開する様子を見ていたロストアイズは、ちらりと浅葱の方を見た。
浅葱の呆然とした顔を気に留めず、ロストアイズも準備に向かった。
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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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