No.70 ページ21
「ロストアイズさんを探してるんですか? それなら、今食堂の方で目に布を巻いてましたよ」
「そうか、ありがとう。布……外れたのか」
再度恒乃にお礼を伝え、食堂に向かう。
その間にも、メンバーの慌ただしい声が廊下を反響していた。
食堂では、ミルクの物と思われる血で背中がべったりと汚れたロストアイズと先程駆けつけたと思われる琉架と風牙がそれぞれ話し合っていた。
明らかに動揺をしている風牙のタブレットを握る手は分かりやすく震えており、既に布を巻き終えたロストアイズも何処かで顔色が悪く、動きが少し忙しない。
琉架が斎槻に気付くと、静かに手招いた。
「右京さんからある程度聞いてる。首領さんの状態は?」
「緊急治療室で手術を受けてる。予断を許さない状態だそうだ。翼曰く、ラビッシュの首領である黒瀬の能力で付いたと思われる傷が大半を占めているらしい。手伝いに行くか?」
「今僕が行ったら、逆に足手まといになる。それにウチの医療部隊は皆優秀だからね」
しかし、斎槻の心中は穏やかでは無かった。
緊急治療室、滅多に使われる事が無いその場所に今、我等の首領が居る。となると、相当な深傷を負っている事になる。暫く活動も出来ないだろう。
(色々憶測は出来るが、本人から聞いた方が早いだろう。問題は首領さんが不在の間をどうするか、だ……)
「赤嶺、桃さんは?」
「緊急治療室前で待機してる。かなりショックだったみたいで、此処から動きたくないって」
「なら、暫くは君にこのレブル全体の指揮を任せるよ。君なら誰も文句を言うまい。それと東雲さん。首領さんが何処を歩いていたか割り出したいから、半径5km以内の地図を提供してくれ。式神が撮った映像を照らし合わせる」
「あ、あぁ……分かった」
「あの人GPS付きの端末持って無いんだよな……まぁ良い。ロストさん、念の為瀕死の首領さんを何処で拾ったか教えてくれ」
「……ラビッシュのアジト近辺だ」
その瞬間、斎槻は眩暈を覚えた。
何故ミルクはそんな場所に行ったのか。しかも、一人でだ。
恐らく見掛けたからと言いそうだが、彼がそれだけで隠密の様な活動をするとは思えなかった。
コメカミを抑える斎槻に、ロストアイズは追い討ちを掛ける様に続ける。
「此処から少し離れた河川敷の橋の下、黒い狼を見た。恐らく……」
「黒瀬剣士の能力」
つまり、相手も一枚岩では無いと言う事だった。
此方の場所も割れてる可能性も含め、斎槻は溜息を吐いた。
戦争開始の鐘なる5秒前──
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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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