No.68 ページ19
…世界は狂ってると思った。
痛い、苦しい、悲しい、悔しい。
その中に、ちょっとした安心や嬉しさが紛れ込んでいる。
オレはあまりにも残酷すぎる夢を見ている。
否、夢幻など生ぬるいものでは無い。
『現実』という名の縄が、オレの首をキツく締めけるのだ。
何があったのかは分からない。
数時間前か。
何故だか、人がラビッシュのアジトにやってきた。
当然、攻撃するのは当たり前なのだ。
「全員部屋に待機!必要な場合は武器を持て!」
オレは廊下に出て、刀に手をかけた。
何者かの影が動く。
オレは皆を守るため、影で全ての戸を塞いだ。
「誰だ!敵なら容赦はしないぞ!」
鋭く言い放った言葉は、すっと棘を無くした。
だって、そこにいたのは。
そこにいたのがアイツだったから。
「お前、は………」
綺麗な白い髪、赤い瞳。
オレの、親友。大切な人。
戦意喪失。それが一番正しいのだろうか。
誰も大切な人を傷付けようなんて思わないだろう。
オレは嬉しさで目が霞んだ。
「お前…、生きてたんだな」
思わず駆け寄った。
久々に見た、親友を前にして。
相変わらず、痩せてるな。乳製品とかお菓子ばっか食ってんじゃないの?
元気にしてたか、嫌なことないか?
背伸びたな、髪の毛も。
ああ、御守りだって、まだ付けてる。
空っぽのコップになみなみと水が注がれるように、嬉しさが溢れ出して行く。
侵入者だとか、どうでも良かった。
聞きたいことも、話したいことも、沢山ある。
そうだ、いつか再会したら、ラビッシュに入ってもらおうと思ってたんだ。
あぁ、良かった、良かった!
どうしようもないくらい溢れ出して止まらないそれを、止めようとも思わなかった。
「オレ…、オレ…っ、何から話せばいいのかわかんないけど…!凄く…嬉しくて…」
混乱もしてるし、感動もしてる。
涙が出そうになるけど、必死に耐える。
「……良かった」
お互い、混乱してるのかもしれないけど、久しぶりに見た姿はそれほど変わってもいなくて。
あの時に戻ったみたいで、嬉しかったんだ。
お互いが敵同士だって。
お互いを傷つけ合ってるって。
そう気付くまでは。
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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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