掃き溜めの星。

No.92 ページ43

「今ので6人目……」

多い……多すぎます。
私達が所属する組織、レブルの首領ミルクさんが大怪我をしてから今日で約一週間。
頑張ったおかげもあり目覚めたミルクさんでしたが、
その後レブルとラビッシュの対立も深まる一方で当然怪我人も増えます。
いつもはうるさい手帳いらずでさえも真剣な表情でずっと考え事をしていて少し寂し……いや、そんなことはないし、そもそもそんなことを言っている場合ではありません。でも、

「私には……よくわからないです」

みんなが大人と戦う理由も、目的は同じなはずなのに傷つけ合う私達のことも、
私は傷つくことがないからわからない。

「藍はいいなあ！絶対に傷つくことはないんだからさ！」
昔、舞にこう言われたことを私は覚えている。
いいなあ……か。
まあ手帳いらずの異能力よりはいい異能力なんだけど……

「あ……コーヒーが冷めてしまいました」

冷めたコーヒーなんて飲む気にもなりません。
かと言ってすてるのはもったいないし……舞が来たら押し付けておこう。

「藍ー？いるー？」

……来ました。
なんてタイミングがいいんだろうこの手帳いらず。

「私はここです。……このコーヒーあげます」

「んー……えっとね、欲しいんだけど後でもいい？話があるんだ」

「わかりました」

珍しい。舞はよっぽどのことがない限りコーヒーをもらってくれます。
まあそこのところは気にしない。
後でということなのでそのまま放置しておき、手帳いらずの話を私はききました。

「知ってると思うけど今ラビッシュの侵入者がいてさ、だからみんなに攻撃無効化を少しずつでいいからやって欲しいんだ」

真剣に話す手帳いらず。それは私もそうしたいけど……

「悪いけどそれは無理です。私の異能力はそんなにチートじゃない」

「…………だよね」

私の異能力は一応私以外の人にも無効化できるけど、流石に広範囲には出来ない。
ごめんね、舞。そしてみんな。
私は戦力外。だから少しでもみんな(レブル)の役にたてるようにしないといけない。

「あと……まあいいや！藍、戦闘始まるから色々準備しといてね！そんじゃね〜！」

「…………」

舞はなにを言いかけたんだろう。
いつのまにかコーヒーカップは空になっていました。

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