No.84 ページ35
ただ呆然と天井を見つめる。
重くてだるい体をベッドに任せて。
珍しく前髪で目を隠すこともしなかった。
正直いって、心の整理がついていないのだ。
アイツが敵だっていうのは分かっている。
でも、アイツはオレの大切な人で………、
天井をいくら見つめたって何も変わりはしないのだが。
現実というのはこうも残酷で、知り合いに過去に戻してくれる異能力者はいない。
「…はぁあ………」
深い溜息をつく。幸せが逃げて行くとか言うが、今は生憎不幸しかないのだ。
近くにある携帯電話に手を伸ばし、とる。
(あれ、生きてた)
てっきり血でダメになっていると思っていた。
と思いながら電源を入れる。
すると、五日経っていることに気が付いた。
(五日………)
ぎゅうっと携帯を握りしめる。
血でちょっと汚れていて、後で綺麗にしないと、と思いながら電源を切った。
すると電話がかかってくる。
間違い電話かな…そう思いながら開くと、非通知だった。
やっぱり間違い電話だろうか。
そう思って出た瞬間、オレの心臓は飛び跳ねた。
『…あー、もしもし、剣士か?』
「…え、もしかして翼か?」
電話してきたのはラビッシュから抜けてレブルに行った翼だった。
でも何故、今電話を?
「……てか、電話番号教えたっけ?」
『お前が連絡先入れたんだろ。忘れんなよ』
「あー……、あったようななかったよーな…」
そんなことした様なしなかったような。
まあ、そんなことした理由なんて、ほぼ「いつでも戻ってこい」っていう宣言みたいなもんなのだが。
「…で?何?こんなこと話す為に電話したわけじゃないだろ」
『お前も分かってるだろ?なんで電話してんのか』
携帯を握る力が強くなる。
「………こんなこと、起きるべきじゃないんだけどな」
『そうだな』
「子供と子供が戦う…望ましくない。どうにかなんないかな……それよりも」
『?』
オレは少し大きな声で、翼に聞いた。
特に意味はないが。
「アイツは…、無事か。生きてるか」
『…! ああ。大丈夫だ。…にしても、もう起きてるなんてお前もしぶといな』
「まだ死ぬ訳にはいかないんでな」
アイツが生きていると聞いてホッとした。
良かった、もし死んでたりしてたらショックでまともでいられないだろう。
少しだけこの異常な自体のことを話してから、電話を切る。
…こんなことが起きた以上、レブルも黙っていられないだろう。
備えるべきなのか、どうするべきなのか。
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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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