□ 第107話 場数とセンス □ ページ7
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翌日デウスは仕事の一つとして、バラトに頼まれた「偽者」の調査をしていた。情報は日本人という事だけ。あまりにも情報は少ない。
デウスはどんな人間なのだろうかと想像してみる。未だ捕まらない程の逃走テクニックを持ち、バラトのような“意味”を知っている。その怯えられようも並の人間ではない。
「お前が偽者…？ …いや、そんな訳ないな。偽者にしてもそんな弱っちい雰囲気してんなら、意気消沈もいいとこだ！」
後ろにはひとりの男が忍び寄っていた。若い男。と言っても、デウスよりは年上らしい。男は気だるげでのらりくらりとしているのが見た目で分かる。ストレートの黒髪が下に行くに連れて白くなっている。夕焼け空の様に赤く染まった瞳は半分閉まり掛け、生きているのか死んでいるのかさえ曖昧な程に生気がない。
デウスは背後に迫る男の手を咄嗟に掴み、足を上げて首を絞めようと試みる。しかし男は相当のスピードだったはずの足をデウスに捕まれていない左手で受け止めると、そこからデウスを薙ぎ倒した。デウスは頭を打った痛みで顔を歪める。
「喋んじゃねぇーよ……、頭に響くだろーがよ」
男はボリボリと頭をかくと、首をコキッと鳴らした。
デウスは直感的に只者ではないと確信する。先程の動きからして格闘技経験者、その才能も中々なものである。恐らく、戦闘に置いてはバラトおも凌ぐだろう。
「(逃げるか…？ こいつ酔ってるのか知らねーけど“頭に響く”つってたし大声上げれば隙も作れるか。ここは人気無いから取り敢えず大通りまで逃げて…)」
逃げる算段を立てている途中で、新しい攻撃が仕掛けられる。あちらこちらから飛んでくる拳や足を避けるのでデウスは手一杯だった。
デウスにとって足りないのは“場数”。あまり仕事では喧嘩をする事は少ないし、進んでしたくもない。しかし、デウスも“戦闘のセンス”なら──十分に持ち合わせるという訳である。
隙間を抜ける様に素早く繰り出した右手は固く握り、男の顔面へ向かう。バキッ、と木が折れる様な音がした後、男はぐらりとふらついた。
「いってぇな……こんな強いとか聞いてねぇぞ静巳…」
「シズミ？ 静巳って誰だ。そいつが“偽者”なのか」
「あなたが知る必要はありませんよ、デウスくん」
デウスの後ろには、立花が立っていた。デウスが気付かないほど気配を殺し、そして小柄な体型を生かしていた。デウスは男と立花を睨み付けた後ぐらりとふらついて倒れた。
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くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» あぁ！ ホントですね!! ご指摘ありがとうございます、訂正致します！ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 36ページの違いドロドロは血がじゃないでしょうか？違うのなら申し訳ないです (2019年9月1日 17時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - Noel*26さん» ありがとうございます！ やっと出てきましたね〜、ここまで来るまで長かった…(笑) (2019年9月1日 6時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - 相変わらずの早起き更新お疲れ様です（ ＾ω＾）ついに「ストックホルム症候群」という単語が本編に出てきましたね...うー、続きが気になる気になる木です（は？）これからも応援しています（ ＾ω＾）更新がんばって下さいー (2019年8月31日 7時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» ありがとうございます！ 頑張ります！ (2019年8月26日 22時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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