□ 第135話 白鳥の湖 □ ページ35
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「……バラトには…自己中心的な愛や暴力を受けました。雑用に使われたり、目の前で友達も殺されたりしました。些細な事で凄く怒られたりして…でもいい人なんです！ 殺すなんて可哀想です！」
「…可哀想に…。もう大丈夫です。大丈夫ですからね…、千秋さんも落ち着けば、どれだけ自分が怖い思いをしたのか分かりますから」
千秋は総会でのゲームを思い出しながら、自分への信用度を高める嘘を吐いた。名一杯そのストックホルム症候群とかいうのに寄せた発言をする。一部事実も含まれるが。
そこで千秋は気がついた。総会と言えば、と。あの日バラトに貰ったネックレスの中にある通信機。あれでなんとか連絡がつくかも知れない。
千秋は、華穂に出された食事を口にする。味付けも普通で、食べた後も特に何か異変があるわけでもなかった。これ以上危害を加えないというのは本当だろう。
「ずっと部屋の中なんて暇ですよね！」と言って、華穂は少女漫画を貸してくれた。幼い頃に少女漫画の雑誌を買っていたのは覚えているがそれきり読んではいなかった。
半分まで読み進めて、千秋はふと質問してみた。
「華穂さんはなんでバラトを殺そうと思ったんですか？」
「殺そうと思った理由ですか…そうですね、ちょっと待ってください」
華穂は写真を取り出すと、見せながら話を始めた。写真には少女が二人写っている。バレエでもしていたのか、二人は髪の毛を後ろの高い位置でまとめ、服はジャージを着ている。しかし二人は嬉しそうな満面の笑みだ。賞でも受賞したのだろうか。バレエに詳しくはないが、何かしらよい結果が出ていたのは千秋にも分かった。
その写真に写る少女は双子──それも、ステラやデウスとは違う、一卵性双生児の。そっくりな二人だった。「私は双子の“姉”を殺されました」その目は何処か悲しそうで、千秋は改めてバラトの被害者という存在を再認識した。
その日はバレエの発表会で、華穂とその姉は王道な白鳥の湖の一曲を踊った。二人が躍り終わり、別の人が躍り始めた時だった。スポットライトが黒鳥役の少女に当たって暫くすると、そのきらびやかな黒い衣装は燃え始めた。少女は驚きで転倒し、そうしている間にもっと火は大きくなる。少女全体に炎が燃え広がって、悶え苦しむ少女の様子はおぞましかった。
そしてそのあと、動かなくなった少女の下が小さく爆発した。小さくと言っても──ステージを吹き飛ばす程であったが。
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くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» あぁ！ ホントですね!! ご指摘ありがとうございます、訂正致します！ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 36ページの違いドロドロは血がじゃないでしょうか？違うのなら申し訳ないです (2019年9月1日 17時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - Noel*26さん» ありがとうございます！ やっと出てきましたね〜、ここまで来るまで長かった…(笑) (2019年9月1日 6時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - 相変わらずの早起き更新お疲れ様です（ ＾ω＾）ついに「ストックホルム症候群」という単語が本編に出てきましたね...うー、続きが気になる気になる木です（は？）これからも応援しています（ ＾ω＾）更新がんばって下さいー (2019年8月31日 7時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» ありがとうございます！ 頑張ります！ (2019年8月26日 22時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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