□ 第117話 因縁 □ ページ17
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「犯罪者居なくなればいいのに…俺らの仕事増やさないで」
「そうなれば万々歳だけどな。ついでに警察もいらねーなそれだと」
「真面目に捜査してください。それから退け」
今回起きた事件現場にて、静巳は面倒そうにそう呟いた。隣の東も、だるそうに耳の中をほじくりながら返す。その言動は正義感からか、はたまた「面倒」という私欲からか。そんな二人に痺れを切らした灰色の髪が美しい男性は、じろりと睨みながら安定しない口調で後ろから一喝する。
彼の名は天音拓海。静巳や東、華穂などの24歳組のひとつ下、後輩である。二人の不真面目な捜査態度は苛立たしい限りである。悪は赦してなるものか。
二人は顔を見合わせてからその場を退ける。するとその間を通って拓海は進んでいった。その後に続いて、二人も歩き出す。
その先には「KEEP OUT」と書かれた危険を思わせる黄色いテープがあり、そのまた先には「Requiem」と描かれた壁と女性の死体があった。
「…レクイエム……、人を殺しておいて何が“安息を”、だ」
「…まぁ、地獄に堕ちろって言われるよりはマシでしょ」
静巳がそう呟くと、一瞬で周囲はピリリと空気を変える。
一課、そして特に特殊手配捜査係は、バラトと因縁がある者が少なくもない。これまで数多く、いや数えきれぬほどの罪を犯してきたバラトを恨む人間は、その犯罪の数だけいる。例え交番の警察官であっても、鑑識であっても。
そして静巳も、そのバラトと因縁のある人間のひとりでもある。
なのに何故、何を意図して、どうしてこの場でその言葉を口にしたのか。東は「理不尽だな」と話題を変えるように文字の下に横たわる女性を見て言った。
「理不尽、ね。……まぁ、仕方ないんじゃない。死んだら生き返らないし」
女性の首もとから壁の上辺りまで真っ直ぐに散った血飛沫。赤い花弁にも見えるその跡は、不覚にも美しいと感じざるを得ないものだった。犯罪を超えた“芸術”を、正義は感じ取ることができない。そいて芸術を超えた正義を、犯罪は感じ取ることができない。
避けられないのである。“意味”のぶつかり合いは。
「君は、なんで殺されたの」静巳はしゃがんでその女性に目を向けると、返答のあるはずのない質問を投げ掛けた。当然静寂しか返ってこない。それでもただ、静巳は女性を目を向けた。「出た」誰かのそんな声も聞こえないほど集中して。
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くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» あぁ！ ホントですね!! ご指摘ありがとうございます、訂正致します！ (2019年9月1日 20時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 36ページの違いドロドロは血がじゃないでしょうか？違うのなら申し訳ないです (2019年9月1日 17時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - Noel*26さん» ありがとうございます！ やっと出てきましたね〜、ここまで来るまで長かった…(笑) (2019年9月1日 6時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - 相変わらずの早起き更新お疲れ様です（ ＾ω＾）ついに「ストックホルム症候群」という単語が本編に出てきましたね...うー、続きが気になる気になる木です（は？）これからも応援しています（ ＾ω＾）更新がんばって下さいー (2019年8月31日 7時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» ありがとうございます！ 頑張ります！ (2019年8月26日 22時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
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