□ 第114話 すきなひと □ ページ14
.
「! デウス! 大丈夫!? 無事!? 心配したんだよ…!」
「っ、ちょ、千秋」
「怪我とかない? 一応ラクくんに診て貰おう?」
トランクルームのドアが開く音に気が付いたのか、デウスが外に出るや否や物凄い速さで千秋が走ってきた。その顔は安堵でいっぱいで、涙さえうっすら浮かんで見えた。
那楽の話が出た所で、バラトやステラがいないことに気が付く。
「あれ、バラトとかは? まさか一人で来たとかないよな!?」
「あー……遅いから置いてきちゃったかも……知れないです…」
「はぁ? 襲われたらどうするつもりだったんだよ…」
「デウスが守ってくれるんでしょ?」
千秋は小悪魔の様に無邪気に、でも意地悪に笑いながらデウスをみる。もしかすると、千秋はデウスのこの恋心にとっくのとうに気が付いているのかもしれない。それでいて、わざとこんな発言をすると言うのならもう彼女は魔性と言ってもいい。そう、デウスは考えた。
そして考えるのをやめた。元々考えるまでもない事なのだ。
「──ああ、俺が守ってやるよ。俺がいる限り、千秋に危険は訪れない」
からかっているつもりで言ったのが、予想外の返答で返ってきた千秋は目を見開く。
夜が明けていく。金色の朝日に照らされたデウスは誰よりも頼もしく、神々しく見えた。心なしか、朝日と同じ色をしたデウスの瞳も光り輝いて見える。
「ぶっちゃけ、千秋がいたから倒せたんだ。捕まってた奴らに」
「どういうこと?」
「千秋が好きだから。守りたいって思ったから、死ぬわけにはいかないって。自分でも言ってたのに思い出せてなかった。俺が本当に護りたいもの。俺は護る為に仕事をして、護る為に生きるんだ」
「………っす…!?」
千秋の左隣を、デウスが歩く。千秋にはなんとなくデウスが成長しているのが分かって、自分より背が高いデウスが逞しく見える。そんな会話の中ででた「好き」。千秋は薄々分かってはいたが、面と向かって言われると驚いて言葉が出ない。
すると今度は、デウスが笑う。楽しそうに。声を上げて。
「
数分後、バラトとデウスと合流し、千秋はバラトにしっかり説教を食らった。「火事場の馬鹿力が馬鹿力すぎる」との事である。そこで、千秋は先ほどのデウスの「Ti amo」とかいう言葉についてステラに聞いてみる。デウスは意味を教えてくれなかった。
「ふふ、ありがとうってことだよ」
「そうなんだ?」
「(デウスったら大胆だなぁ)」
□ 第115話 正体 □→←□ 第113話 デウス・エクス・マキナ □
26人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» あぁ! ホントですね!! ご指摘ありがとうございます、訂正致します! (2019年9月1日 20時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 36ページの違いドロドロは血がじゃないでしょうか?違うのなら申し訳ないです (2019年9月1日 17時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - Noel*26さん» ありがとうございます! やっと出てきましたね〜、ここまで来るまで長かった…(笑) (2019年9月1日 6時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - 相変わらずの早起き更新お疲れ様です( ^ω^)ついに「ストックホルム症候群」という単語が本編に出てきましたね...うー、続きが気になる気になる木です(は?)これからも応援しています( ^ω^)更新がんばって下さいー (2019年8月31日 7時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» ありがとうございます! 頑張ります! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ