□ 第91話 やらなきゃいけない □ ページ41
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気付けば、ラクはデウスに体を押さえられていた。デウスは悲しそうに眉間にシワを寄せ目を反らしていた。那音はゲホゲホと苦しそうに咳をして倒れていた。「あぁ、僕はこいつを殺そうとしたんだ」ラクは自分の両手を見つめた。
デウスもステラもバラトも千秋も、何も言わなかった。ラクの哀れな叫び声は、四人には届いていた。力が抜けてへたりこんだラクを、バラトが立たせて歩かせた。
「大丈夫だ」
バラトは「何も言わなくていい」と言うように口を開こうとしたラクの頭を撫でた。
──人を殺そうとしてしまった。人を救うためにあるこの両手を、人の首を絞めるために使ってしまった。母さんに握ってもらったこの両手を。
「…、う、……ぁぁ…」
気付けば涙が流れていた。あの日と同じだった。何もかもがモノクロに見えて何もかもが冷たく感じるのに、バラトだけは。いや、今はバラトや千秋やステラやデウスだけが。皆だけが色付いて見えた。毒々しい紫色の光が、柔らかな赤紫色の灯火が、眩い白色の炎が、暗い黒色の燈籠が。
依然誰も何も言わない。でも、バラトはわしゃわしゃとラクの髪の毛を掻き乱すのをやめないし、千秋もステラもデウスも歩みを止めない。まるで、“進むしかない”とでも言われているようだった。どんなことがあっても、生きている以上歩みを止めることも、振り返ることも許されないと。進めば全て過去に変わっていくのだと。
「……ありがとう…、もういいよ。いい年して泣いてらんないよね」
「おー。チビが泣いてたらガキに見えんぞ」
「あぁなんかお腹空いてきた〜、なんか食べようよー」
「千秋ちゃんさっきパフェ食べてたじゃない」
「スイーツは別腹なんじゃね？」
ラクは涙を拭って笑う裏で、“父を助けなくてはいけない”と思った。何故ならば、父親がしている薬の研究は、他国から奪ったデータをベースに出来たものだからだ。本来であればその国の研究であり、その薬での成果もその国の利益の筈なのだ。それを奪い取るなんてあってはいけない。そんな治療なんてだれも受けたくはない。
「バラトさん、頼みがある。お願い、僕の反抗期を手伝って」
「俺だけか？」
バラトは本日3つ目の棒つきキャンディを口に入れた。バラトがそう言うと、千秋たちは「私たちにも頼れ！」とラクの背中を思い切り押した。思い切り押しすぎて転んだラクに四人は笑顔を向ける。ラクは「しょうがないんだから」と溜め息を吐いた。
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くろせ(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます！検討致します (2019年5月10日 18時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 千秋ちゃんが大犯罪者でバラトが誘拐される立場逆転物語を見てみたいです。 (2019年5月10日 15時) (レス) id: 95b6da62c6 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - そうですか……わかりました！企画の検討お願いします！ (2019年5月10日 0時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 白雪の鴉亭さん» 猩々木ちゃんは、千秋(嘘吐きさん)のターンで殺されたのではなく、投票で殺されたので、本当に死んでしまった形になります。企画の件、検討します！ (2019年5月9日 23時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 募集したキャラのその後とか書いて欲しいです！（ただ単にポインセチアがどうなったのか気になるだけですが……） (2019年5月9日 23時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
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