□ 第90話 眠れる激情 □ ページ40
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それから千秋達はバラト、ラクと合流し、東京内を観光して回った。雷門やお台場、東京タワーやスカイツリー。千秋は子供のようにはしゃぎ、バラトは呆れながらそれを追い、ステラは微笑みながら歩き、デウスは幸せそうに笑う。ラクは──…。
「あれ、ラクくんは？」
「いない…、バラト知ってる？」
「知るかお前らの世話で手一杯だ馬鹿野郎」
「ラクくんの事だから多分大丈夫だとは思うけど…」
ラクは一人の男性と向き合っていた。聳え立つスカイツリーの影に隠れて。
ラクは不機嫌だった。目の前の男は金に溺れて、妻や息子をほったらかして薬の研究に没頭した人でなしであると知っているからだ。それを何を今さら、“父親”面をして自分の目の前に立っているのか、と。
「何か用？」
「もうすぐ完成して、既に臨床実験まで進んでいるんだ。小さいとき約束したろう、“薬が完成したら三人で暮らそう”って」
「あんたが家に帰らないうちに色々変わったんだよね。ひとつ、僕はあんたと縁を切った。そしてもうひとつ、母さんはもういない!!」
精一杯の苛立ちを込めて叫んだ。その声すら喧騒に呑み込まれて、周囲の人が気付くことはない。
“あの日”、父親──…『須賀井 那音』は、美楽と別れを告げる為にあるあの日その場に居なかった。
全部がモノクロに見えていた。誰も彼もが理不尽な事故によって命を奪われた母親の死を悲しみ、嘆いていた。お前だ。お前が慰めるべきだったんだ。父親のお前が！
だから代わりにバラトさんが話を聞いてくれたんだ。あの時バラトさんは葬式にはいなかったけど、ずっと斎場の前に居たんだ。なんでお前じゃないんだ。なんでお前は死なないんだ！
「知ってるだろ母さんが死んだ事くらい！ なんで、なんであの時来なかった！ 今夜が峠って時に、どうして母さんの側に居てやらなかった！ なんで最後の別れの時に、母さんの側に居てやらなかった！お前はいつもそうだ!! 死ね、死にたくないなら殺してやる！」
美楽が事故に遭って、重体だと知ったとき、何となく「死んでしまうんじゃないか」と思って涙が出ていた。それを勇気づける事でさえ父親の那音の仕事だった。バラトは見かねて、日本にいる間はまだ子供だったラクの面倒をいつも見てくれていた。
「今すぐだ！ 今すぐ母さんの墓場まで行って、「許してくれ」って土下座してこい！ そしたら丁寧に墓穴に入れてやるよ!!」
今まで眠っていた感情を爆発させるように、ラクは怒った。
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くろせ(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます！検討致します (2019年5月10日 18時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 千秋ちゃんが大犯罪者でバラトが誘拐される立場逆転物語を見てみたいです。 (2019年5月10日 15時) (レス) id: 95b6da62c6 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - そうですか……わかりました！企画の検討お願いします！ (2019年5月10日 0時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 白雪の鴉亭さん» 猩々木ちゃんは、千秋(嘘吐きさん)のターンで殺されたのではなく、投票で殺されたので、本当に死んでしまった形になります。企画の件、検討します！ (2019年5月9日 23時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 募集したキャラのその後とか書いて欲しいです！（ただ単にポインセチアがどうなったのか気になるだけですが……） (2019年5月9日 23時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
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