□ 第89話 最高の女医 □ ページ39
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「命をなんだと思ってるの!! いい加減にしなさい！ 確かに私はあなたの苦しみも痛みも何も分からない！ でもね、それでも“生きる意味”だけは忘れちゃダメなの!! ないなら見つければいいの!!」
辛くて、辛くて堪らなかった。苦しくて、苦しくて仕方がなかった。居なくなりたくて、怖くて、痛くて。自分の事も他人の事も分からなくなった。なんで生きてるのか、なんで生まれたのか、なんで両親はこんな自分を生んだのか。どうして、自分は他人を理解できないのか。受け入れられないのか。歪んだのか。
バラトは、そんなのどうでもいい、とでも言うように頬を思い切り叩かれたあの日を鮮明に覚えていた。あまりの勢いの強さに床に倒れたし、首筋に痛みも感じた。それほど重いものが乗っかった手のひらだった。
彼女は別に敏腕な訳でも、天才な訳でもなかった。ただ、バラトにとっては最高の女医だった。
「地獄ねぇ。信じてねーけど」
「信じてない癖に地獄に堕ちろとか言うの？」
「いいだろ別に」
今の自分とあの頃の自分は全然違うし、考えていることも見た目も全部違う。それでも、未来と過去には『歪み』があった。真っ直ぐな、歪みが。
ラクはその歪みのせいでバラトは間違った方法で『意味』を伝えるようになったのだと確信していた。犯罪を美しいと思えるようになったのだと思った。どうにかできるならとっくのとうにやっているが、幼い頃に酷く曲がりくねったバラトの歪みは最早どうにもできなかった。
「じゃ、戻ろう。長居しててもね」
ラクは灰色の薄手の上着を翻し、さっさと先に歩き出す。それを見ると、バラトは大股で数歩あるいた。するとラクは追い付かれてしまい、ラクは嫌そうに顔をしかめ、帽子を被った。
「美味しかったぁ…」
千秋は空になった大きなグラスを前に満足げな溜め息をついた。先程まで千秋が食べていたのは特大のパフェ。千秋が全部食べたのである。小さいパフェをちびちび食べていたデウスは、それを見て唖然としていた。どうしたらその体にあれだけの量が入るのだ。
ステラは見かねて小声でデウスに話し掛ける。千秋に分からぬようイタリア語で。
「すごい食べっぷりだったよ。デウス味わわないでご飯食べる人嫌いって言ってなかった？」
「や、でも…可愛かった」
「もう。ぞっこんかぁ…。まぁ、美味しそうに食べてたしね」
幸せそうな表情をしている千秋を、さらに幸せそうな表情で見つめるデウスだった。
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くろせ(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます！検討致します (2019年5月10日 18時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 千秋ちゃんが大犯罪者でバラトが誘拐される立場逆転物語を見てみたいです。 (2019年5月10日 15時) (レス) id: 95b6da62c6 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - そうですか……わかりました！企画の検討お願いします！ (2019年5月10日 0時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 白雪の鴉亭さん» 猩々木ちゃんは、千秋(嘘吐きさん)のターンで殺されたのではなく、投票で殺されたので、本当に死んでしまった形になります。企画の件、検討します！ (2019年5月9日 23時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 募集したキャラのその後とか書いて欲しいです！（ただ単にポインセチアがどうなったのか気になるだけですが……） (2019年5月9日 23時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
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