□ 第79話 欲しいもの □ ページ29
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「私お姉ちゃんとだったら上手くやれると思うの。ほら、お姉ちゃん私より家事とか上手だし、一緒にいてもらいたいなぁって。それに、私と一緒なら批難される事もないし、安全も、お金も、話し相手も、友達も、恋人も、ぜーんぶあるよ！」
真っ当な生活を送れるんだよ！ 美春は千秋の手を優しく包み込む。そこには、千秋の欲しいもの全てがあった。
批難される事もなく、真っ当に…？ その言葉に、千秋は呆然と、だが明確に思考を巡らせた。安全な場所。バラトと一緒にいるのはとてもではないが安全とは言い難い。お金。バラトなら有り余っているだろう。話し相手。デウスやステラもいる。友達。アリスにパトラも。恋人は──…いつかバラトと、なんて馬鹿げた事を思っていた。
でもそれ以上に、「真っ当な生活」という言葉が強く頭を殴るように響いた。千秋の底に根付いた美春との主従関係は、無意識に従う方向へと千秋を導き始めていた。美春はこれ幸いと、囁くように追い討ちをかける。
「私がお母さんやお父さんの変わりにお金稼いで、お姉ちゃんを愛してあげるからさ。ねぇ…行くよね？ 行こ？」
自分より背が高い千秋を、背伸びして美春は抱き締めた。その声はバラトとは違う甘ったるさを持ち、至近距離で長々と話されては胸焼けしそうだ。その言葉の余韻が頭に響き続ける千秋は、思考が全て美春に支配されている気分だった。
どうすれば良いのかわからない。バラトと一緒にいたい。でも真っ当な生活を送りたい。この本心をどうすることも出来ない。話したいのに話せない事ばかり増えていく。陰に隠れて話を聞いているバラトは動かない。喋らない。
きっと彼なら「お前の好きな方にしろ」と言うだろう。彼だって初め千秋を家へ帰そうとしていた。ああ、付いていっても時々会えるなんて事があればいいのに、そうは思うが、きっとバラトのことだからそんな中途半端な関係は持たないだろう。
「…ねぇ、美春」
「？」
「…ちょっと、だけ時間ちょうだい」
「いいよ。好きなだけ考えて」
じゃあピアノ弾いてるから！ そう言って美春は二階の自分の部屋へ登っていった。すると我慢していたかのようにドクンドクンと急に心臓が鳴り出し、汗が飛び出すように出てくる。千秋は掠れた声で「タイガ」と必死に呼んだ。バラトは目を細めて千秋を見ると、緊張状態が解けたかのように座り込んだ千秋の隣に、ヤンキー座りをしてしゃがみこんだ。
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くろせ(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます！検討致します (2019年5月10日 18時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 千秋ちゃんが大犯罪者でバラトが誘拐される立場逆転物語を見てみたいです。 (2019年5月10日 15時) (レス) id: 95b6da62c6 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - そうですか……わかりました！企画の検討お願いします！ (2019年5月10日 0時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 白雪の鴉亭さん» 猩々木ちゃんは、千秋(嘘吐きさん)のターンで殺されたのではなく、投票で殺されたので、本当に死んでしまった形になります。企画の件、検討します！ (2019年5月9日 23時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 募集したキャラのその後とか書いて欲しいです！（ただ単にポインセチアがどうなったのか気になるだけですが……） (2019年5月9日 23時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
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