□ 第61話 閉幕 □ ページ11
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とある男が、込み合う出入口を抜ける。そうだ、別の場所から出よう。そう扉を開いた時だった。刹那的な光が男に押し寄せたあと酷い熱と衝撃が襲う。爆発した、そう分かるまでにそう時間はかからなかった。爆弾を仕掛けるよう仕向けたのはバラトでなく―――…主催者だった。主催者は首を傾げて頭を掻くと、「今回はお預けだな」と呟いた。
「きゃああっ！？」
「ガキこっち来い」
「お嬢…！ …様。大丈夫ですか？」
その爆発は小さなものではなく、バラトたちがいる会場にも影響が及ぶ大きいモノだった。飛んでくる壁の破片や人を避け、千秋は必死でバラトにしがみついた。デウスは「俺に抱きつけばいいのに」と心の中でバラトを羨ましがりながら、落ちてきた女性を受け止めることなくひょいと避けた。これはやべぇな。そう呟くと、バラトは千秋を抱き上げ逃げ道を探し始めた。
「えっ…！？ っちょ…！」
「あ？ 文句あんのかそれとも俺より速く走れんのか」
「な、なんでもないです」
パトラはカエサルに守られながらもその様子を見ていた。そしてバラトに近付くと…キスしようとした。キスする寸前で、やめた。バラトはそれに目を見開く。「キスはまた次会ったときにしましょう」そう笑って、手を差し出すカエサルの手をとる。バラトは「そーかい」と返すと、次会う時は一流のレディだな、とアラビア語で話して笑った。パトラは泣きそうな顔で笑って「はい」と返すと、カエサルと共に逃げ出した。
さーて、俺らも行きますかね。そう言ってバラトは勢いよく窓を突き破って外へ出た。小雨が降っている。千秋は父親やおじいちゃんくらいにしかやってもらわなかったお姫様抱っこをバラトにしてもらうなんて考えたこともなく、高鳴る心臓を一生懸命隠していた。すると、不意に…パトラの言葉が甦る。“――千秋さん、バラトに相当惚れ込んでるみたいよ。”
「違う…！」
「は？ 何が。どうした急に」
なんでもないなんでもない！ そう否定しながら首を振った瞬間。一瞬何かが光ったあととんでもない爆風がやってきた。思わずバラトにしがみつく。バラトはあ〜あ、と呟くと燃え盛る大きな屋敷を見た。危なかった……、心臓がバクバクしているのはバラトを好いていると自覚したからか、それとも大爆発のせいか。今だけはいいか、と千秋はバラトの服をきゅっと握った。
主催者さえ誰か分からない犯罪渦巻く犯罪者総会は、今夜も幕を閉じる。火薬に火をつけて、これを見ていた貴方さえも巻き込んで。
□ 第62話 十分な回答 □→←□ 第60話 自己防衛=愛 □
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くろせ(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます！検討致します (2019年5月10日 18時) (
レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 千秋ちゃんが大犯罪者でバラトが誘拐される立場逆転物語を見てみたいです。 (2019年5月10日 15時) (レス) id: 95b6da62c6 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - そうですか……わかりました！企画の検討お願いします！ (2019年5月10日 0時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 白雪の鴉亭さん» 猩々木ちゃんは、千秋(嘘吐きさん)のターンで殺されたのではなく、投票で殺されたので、本当に死んでしまった形になります。企画の件、検討します！ (2019年5月9日 23時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 募集したキャラのその後とか書いて欲しいです！（ただ単にポインセチアがどうなったのか気になるだけですが……） (2019年5月9日 23時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
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