□ 第41話 生きる □ ページ41
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自分を追ってくる警察の帽子を被った滑稽な犯罪者を蹴り飛ばして逃げるバラト。生憎今は千秋に手を貸して良いほど余裕はない。一流二流の犯罪者の集まりだ、いつ襲ってくるかわからない。急に襲ってくる訳ではないのだから、Aブロックはまだマシだ。狂った泣き声も笑い声も、きっと臆病者には耐えられない。そこにデストルドーが楽しそうな様子で飛び掛かってきた。
「襲おうなんていい度胸してんじゃねーか」
「バラトくんを芸術作品のひとつに出来たらさぞかし最高でしょうね」
「ガキが芸術語ってんじゃねぇよ。バカが」
「あら?僕も結構生きてるつもりですけどね」
「俺からしたらガキだよ。どいつもこいつも身体だけ大人になりやがる」
「嫌だなぁ…」
自分に向かってくるナイフをナイフで受ける。金属同士ががなり合い嫌な音しか鳴らないが、それをかきけす声も音もあった。こんな場所にいつまでもいたら精神が崩壊しそうだ。バラトはデルトが自分を刺そうと伸ばした腕を掴み軽く折った。
「そういやずっと前から思ってたけどなんでお前デストルドーなのにデルトって名乗るの?デルドじゃね普通。俺の名前パクってんじゃねぇよ著作権著作権」
「…っはは…それはズルいですよバラトくん…。腕折るなんて…酷いじゃないですか…」
「いいや?慈悲深いね。生憎俺はキャンディがなくてイライラしてるんだ。それにヒビ入っただけなら動かせんだろ。リタイアか?ん?」
…まぁ一旦気絶して貰うけどな。めんどくさそうにバラトはそう吐き捨てると、デルトの頭を容赦なく蹴り落とした。デルトは激しく揺れる脳に耐えきれず倒れ込んだが、立てない程度のようだ。しぶてぇやつ、そう言ってバラトは肩をすくめ、落ちた警察の帽子をクルクル回して遊んでいた。
自分の人差し指が人をひとり殺したという事実に耐えられず千秋は床に座り込んだ。当然のようにあの男は“嘘つきさん”なんかではなく、ひとり無駄な犠牲者を出したと言える。間接的にも自分が人を殺したということに千秋は心が押し潰されそうでならなかった。ステラはただただ悲しそうな顔をして、千秋を見下ろすことしか出来なかった。
「千秋ちゃん、また、始まるよ。覚悟、決めて。生き残るか殺されるか」
そうだ、ステラだってやりたくて千秋に指を指させたわけじゃない。それに投票のルール上恐らく千秋が指さなくてもあの男は殺された。こうしていても更に犠牲者を出すだけなのだ。千秋は生きると返すと立ち上がった。
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くろせ(プロフ) - 漣さん» ほんとですね!誤字報告ありがとうございます!訂正致します! (2019年4月2日 17時) (レス) id: 09d294978c (このIDを非表示/違反報告)
漣(プロフ) - いつも更新楽しみにしている者です。42話の「ステラは別の本物と思われるダイヤモンドを取りだし、そのまま逃げ出した。」という文章なのですが、デウス君ではないでしょうか?勘違いでしたらすみません!コメント失礼しました。 (2019年4月2日 17時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)
飴ん子(プロフ) - くろせさん» ああ、そうでしたか。すみません!!! 了解です、その機会があれば、またコメントします。バラトニキと千秋ちゃんがすこなのでお気に入りに登録します。改めて失礼しました。 (2019年4月1日 14時) (レス) id: 1a98819731 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 飴ん子さん» すみません、今はキャラクターは募集しておりません…。また続編とかで募集すると思うので、その時までお待ちくださいませ! (2019年4月1日 13時) (レス) id: 09d294978c (このIDを非表示/違反報告)
飴ん子(プロフ) - 素敵な一次創作ですね…!バラトさんすこ。(唐突) この素敵な企画に是非ともキャラクター提供したいのですが、どうでしょうか? (2019年4月1日 11時) (レス) id: 1a98819731 (このIDを非表示/違反報告)
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