No.5 ページ6
「……子供を攫って売り飛ばしているとは聞いていたが、流石にこんな小さな子だとは思ってなかった。どうしたもんか……」
目の前に広がる幼い子供の集団を見た彼は、口元に指を当て、杖に凭れていた。
彼の前に佇む子供達は、皆10にも満たないであろう者ばかりで、彼の血眼を怖がって傍らの桃色の髪をした女性に縋り付く者もいる。
「お前達、親は」と彼が聞けば、皆一様に「いる」と答え、「家に帰りたい」と言った。彼にしてみれば嘘の様な、全く理解出来ない想いだが、子供達は純粋にそう願っていた。
「……モモ、こいつらは実験台にも仲間にも向いてない。外へ捨ててこい」
やがて彼は吐き捨てる様にそう言うと、汚れ一つない白い隊服を翻して足早に歩き始めた。モモと呼ばれた女性は優しく笑って、「それはつまり、家に帰せって事ですよね？」と、どこか彼を冷やかすように答えた。それを聞いた彼は、彼女を軽く睨みつける。
「…………そんなめんどくさい事は言ってない。商店街だとか、大通りにでも捨ててこいっての」
「ふふふ、こういう所は素直じゃありませんね。昔っから、本当に……」
「……ふん、何とでも言え」
白い髪を揺らしてそっぽを向く彼と、それを見てクスクスと笑う彼女は、何があっても切れない、血よりも濃い絆で結ばれていた。見様によっては、親とだだっ子の様かもしれないが。
「あのな、モモ。勘違いするなよ。私が目指しているのは仲間達しかいない世界だ。こいつらだって、仲間達を傷つけるなら新世界には要らない」
「……ええ、分かってますよ。……傷つけなかったら仲間に入れちゃう事も」
「んなっ……あぁっ！もういいっ」
完全に調子が狂ったらしい彼が、今度こそ踵を返して歩き始め、通信機を取り出す。その動作に落着きは無く、何かの想いを秘し隠している様だった。
「おい、風牙。聞こえてるか？」
「……！はい、ミルク様！どうかなさいましたか？」
「あのー……あれだ、もうそろそろ屋敷の奴らは始末し終わっただろうし、食糧庫で何か食べて、それから、ええっと……宝石類とか、持って帰れそうな物は持ち帰る。とりあえず全員に食堂へ集まるように伝えてくれ」
「かしこまりました。……あの、ミルク様。何かあったのですか？」
「え？なんで」
「いえ、いつもと雰囲気が違っ」
聞き終わる前にブツリと通信を切って、乱暴に通信機をポケットに入れる。
顔が熱いのは、体力が無いのに早歩きしているからだと信じたかった。
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おバカな傀夢(プロフ) - 皆さん、上手くて凄く尊敬します！！え、もう。好きになっても良いですよね。 (2018年6月26日 21時) (
レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - え、ウチの子がとても良い感じのクズ感。そして、ミルクさんとロストアイズさんがクールビューティ過ぎて好きです。 (2018年6月26日 21時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - 自然悦岫さん» 見てみます！ (2018年6月26日 6時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
自然悦岫(プロフ) - ドットコムさん» ありがとうございます。モデルにした谷川俊太郎さん作詞の合唱曲、「サーカス�機‘参宗縮粥廚鮴�非YouTubeで聞いてみてください。 (2018年6月25日 22時) (レス) id: 18ee1d3faa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - ロストアイズさんカッコよ！！！！！！！ (2018年6月25日 22時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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