44.好奇心の時間 ページ44
相変わらず本から目を離さず答える綺羅々だったけれど、どことなく沈んだ私の雰囲気に違和感を覚えたのだろう。
本を閉じて、私の顔を見た瞬間綺羅々は珍しく感情を露わにして、驚きの声を放った。
「どうしたの、顔、真っ青よ…」
『え…？』
鞄から手鏡を取り出して自分の顔を確認する。
鏡に映った血の気の引いた顔をした私は、小さい頃にカルマと観たホラー映画に出てきた亡霊にそっくりで、今にも倒れそうだった。
『…情けない顔…』
綺羅々の心配そうな顔に、遂に涙腺が崩壊する。
『っ…ふっ…ど、うしよ…綺羅々…』
カルマ、愛美ちゃんが好きみたい。
自分で言って、またショックを受ける。
綺羅々も酷く驚いた顔をして、それからそう、と小さく呟いた。
俯いていて、綺羅々がどんな表情をしているのかは分からなかったけれど、何だかんだ言って優しい彼女のことだ。
きっと悲しげな顔をしているのだろう。
まるで自分のことのように、悔しげな気持ちで。
『綺羅々…わ、たしさ…愛美ちゃんには叶わない、あんなに純粋無垢で天真爛漫で…あんなに綺麗な女の子…私なんか、かないっこない…！』
泣きながら言う私に綺羅々は何も言わず、ただ、そっと慰めるように背中を押し撫でてくれた。
そのまま布団の中に潜って綺羅々に抱きしめてもらう。
部屋に戻ってきた女子達にバレないように声を押し殺して泣いた。
＿＿＿＿
「A起きなさい、朝よ」
綺羅々の声に目を覚ます。
どうやら、昨日は泣き疲れてそのまま綺羅々の腕の中で眠ってしまったらしい。
『綺羅々、昨日はありがとう』
綺羅々は少し照れたように、ん、と素っ気なく返事を返してタオルを持ってどこかへ行ってしまった。
昨日泣いた反動からか、何処と無く重い体にずるずると布団に引き篭ると二度寝する気？と上から降ってくる声と渡される冷えた濡れタオル。
「昨日泣いたからでしょうね、目腫れてるわ」
さっきタオルを持って行ったのは私の為だったのか、と嬉しくなって暗く沈んでいた気持ちが楽になる。
『ありがとう、綺羅々！』
綺羅々に渡された濡れタオルを目元に当てて目の腫れが引くのを待つ。
「Aなんかあった？」
後ろから莉桜の声。
話すべきなんだろうけど話したくないな、とせっかく上がりかけていた気分も下がりかける。
けれど綺羅々はそんな私を察してか、私の代わりに事情を説明してくれた。
ホントに綺羅々は頼りになるなぁ…。
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雪飴(プロフ) - りつ@鉛筆さん» ありがとうございますぅぅ！！！！！更新しないと…とは思ってるんですが、最近出来てなかったので今日こそは更新します！！更新分も読んでいただけると嬉しいです！！でも、いつも更新が夜中になっちゃうので結局今日というより、明日になっちゃうんですけど……(^^; (2020年3月31日 12時) (
レス) id: 5a5d675a95 (このIDを非表示/違反報告)
りつ@鉛筆(プロフ) - これ…好きやわ（確信） (2020年3月31日 11時) (レス) id: 026de477cb (このIDを非表示/違反報告)
雪飴(プロフ) - コメントありがとうございます！！頑張ります！！ (2020年3月22日 20時) (レス) id: 5a5d675a95 (このIDを非表示/違反報告)
無花果(アル,スト,刀剣,第五,ヒプ好き,��)(プロフ) - とてもストーリーがタイプで好きです！！頑張ってくださいね！ (2020年3月22日 20時) (レス) id: 0e478908d2 (このIDを非表示/違反報告)
雪飴(プロフ) - いつでもコメント受け付けてます！コメントくれると嬉しいな（はーと） (2020年3月22日 6時) (レス) id: 5a5d675a95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪飴 | 作成日時：2020年2月29日 17時
