15.二択の時間 ページ15
死んだ、と思った。
カルマの腕の中で、安らかな死を迎えられるならどうだって良かった。
けれど、いざ目を開けてみれば視界いっぱいに広がる青空。
背中に伝わる弾力。
『あ、れ…生き、てる…？』
「カルマくん」
殺せんせーの声がして、
あぁ、私達は殺せんせーに助けられたんだなと簡単に察することができた。
「自らを使った計算尽くの暗殺お見事です！音速で助ければ君達の肉体は耐えられない。かといって、ゆっくり動けばその間に撃たれる。…そこで先生、ちょっとネバネバしてみました。」
試しにカルマが身動きを取ろうとするが、全くと言っていい程動けなかった。
「くそ、何でもアリかよこの触手…」
「これでは撃てませんねぇ」
ヌルフフフ、と殺せんせーが煽るように笑う。
「あぁ、ちなみに…見捨てるという選択肢は先生にはない。」
「へ」
「いつでも信じて飛び降りて下さい。」
その言葉にカルマの体の力が抜けた。
カルマの瞳に映っていた負の感情が先生に中和されていた。
これが、先生の"手入れ"…。
(あぁ、こりゃだめだ。殺せない。
正面から一人一人を見てくれている。他の先生とは違うんだ。
きっと、卒業しても殺せないね…少なくとも"先生"としては。)
＿＿＿＿
「カルマくん、Aちゃん…平然と無茶したね」
「別に…今のが考えてた限りじゃ1番殺せると思ったんだけど。」
「おやぁ、もうネタ切れですかぁ？報復用の手入れ道具はまだ沢山ありますよ。君も案外チョロいですねぇ。」
(うわ、こいつ根に持つタイプか)
「殺すよ、明日にでも」
そう言うカルマの表情は呪縛から吹っ切れたように晴れ晴れとしていた。
「じゃ、帰ろうぜ渚くん、A。帰りメシ食って行こうよ」
『さんせーい！』
カルマの左手の財布を見て先生が悲鳴を挙げる。
「あー！！それ、先生の財布…！！」
「だからぁ、職員室で無防備に置いとくなって」
「ちょ、返しなさい！」
「いーよ、はい」
カルマが投げた財布を先生が受け止める。
「え、な、中身抜かれてますけど…？」
「はした金だったから…募金しちゃった」
語尾にハートマークが見えるほどの茶目っ気たっぷりの笑顔で答えるカルマ。
しばらく見てなかったカルマの毒気の抜けた笑顔に私も自然に笑顔になる。
殺せんせー、か。
明日はどうやって殺そうかな。
見上げた空は私の心のように晴れ晴れとしたどこまでも続く青空だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「暗殺教室」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪飴(プロフ) - りつ@鉛筆さん» ありがとうございますぅぅ！！！！！更新しないと…とは思ってるんですが、最近出来てなかったので今日こそは更新します！！更新分も読んでいただけると嬉しいです！！でも、いつも更新が夜中になっちゃうので結局今日というより、明日になっちゃうんですけど……(^^; (2020年3月31日 12時) (
レス) id: 5a5d675a95 (このIDを非表示/違反報告)
りつ@鉛筆(プロフ) - これ…好きやわ（確信） (2020年3月31日 11時) (レス) id: 026de477cb (このIDを非表示/違反報告)
雪飴(プロフ) - コメントありがとうございます！！頑張ります！！ (2020年3月22日 20時) (レス) id: 5a5d675a95 (このIDを非表示/違反報告)
無花果(アル,スト,刀剣,第五,ヒプ好き,��)(プロフ) - とてもストーリーがタイプで好きです！！頑張ってくださいね！ (2020年3月22日 20時) (レス) id: 0e478908d2 (このIDを非表示/違反報告)
雪飴(プロフ) - いつでもコメント受け付けてます！コメントくれると嬉しいな（はーと） (2020年3月22日 6時) (レス) id: 5a5d675a95 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪飴 | 作成日時：2020年2月29日 17時
