享年28歳未婚ハイスペック社会人（女）の生まれ変わった先が名探偵コナンの世界だったので前世からの親友ととりあえずがんばる［1］

17.前話のタイトル、全く思いつかなかったので超シンプルにしてみました。 ページ17

冷めても美味しいお弁当に、親の有り難みを感じる。
母が握ったおむすびを食べる機会なんて、転生していなかったら無かったはずだと心に沁みた。

お砂糖入りの卵焼きは父特製。玉子焼きは断然しょっぱい派だったけれど、意外と甘いのもいけるな。

イチとお弁当を食べ終えて、公園内のベンチに腰掛けて日向ぼっこ。


A「落ち着く〜。老後みたいな気分。」

一乃「ちょっと、まだ8歳だよ？勘弁して〜。」

気の抜けた声で、そんな会話。
中身は28歳だけどね、という実年齢ツッコミもそろそろ野暮か。

前職、老人ホームで介護をしていた時を思い出す。
よくお爺さんお婆さんと、庭のベンチで今みたいにのんびり話をする時間があった。
お世話をしていたご老人や後輩達はまだ元気なのだろうか。
せっかちだった先輩はまだ忙(せわ)しなく働いてるのかな。


一乃「そういえば、他校の子達もいるね。」

周りを見渡すと、確かに、見かけない子が異常に多い。

A「ほんとだ〜、遠足被りかな？どこの小学生も可愛いねえ。」

木登りを楽しむ子、遊具で遊んでる子、広場の方でボール遊びをしてる子など様々。

一乃「なんかババくさ。確かに可愛いけどね。」

A「それに比べて私達ときたら、やる事もなくダラダラしてるだけだよ。」

一乃「こんなゆっくり出来るのなんて今だけだぞ〜？」

大人になれば、仕事に、税金や生活費や携帯料金の支払に、年度末は確定申告にも追われる。あれ？お金のことばっかだな。
そんなわけで何もせずにのんびり過ごせるのは子供の頃と老後くらい。

A「それもババくさい！」

一乃「たしかに。」

と、2人で笑い合った。



暫(しばら)く、イチとの特に意味のない話を楽しんでいると、突然広場の方からボールが飛んできた。

A「痛っ！！」

飛んできたボールは見事に私の脛(すね)にクリーンヒット。
ちょ、笑うな親友。弁慶の泣き所を襲われこちとら涙目ぞ。


一乃「ふ、あはは！すっごい綺麗に当たってたよ！！」

A「まだ痛い、ふふ、笑わないでよイチ！」

イチの笑いに、私まで笑いが込み上げてくる。

そばに転がったサッカーボールを返してあげようとイチが拾おうとすると、「すみませーん！」と駆け寄ってきた少年を見て2人で固まり、目を見開く。

一乃「ねえ、あれって、」

A「え…。」

子供ながら整った顔を前に、驚きで痛みが吹っ飛ぶ。

「大丈夫だったか？！」



うお…え、江戸川コナン…だと？！

18.見た目は子供、中身も子供！その名も、ただの（？）子供！→←16.遠足

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