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母は神の方をちらりと見てため息をつく。母は神をそんなに好いていなかった。理由は知らない。私が物心ついた時にはそうだった。
「二人とも、朝餉の時間よ。早くいらっしゃい」
「分かりました」
「はーい」
佑里は間延びた返事をした。母はキッと佑里を睨み、口を開く。
「しっかりと返事をしなさい。貴方は跡継ぎなんだから」
母はそう言い放つと礼拝室を出ていった。佑里を見ればムスッとしていて、相変わらず仲が悪いな、と他人事のように思う。
二人の仲が悪いのは、私の巫女の才能が開花した時からだった。その時から私も佑里と仲が悪くなったっけ。別に、気にしていないが。
「いいよね、お姉ちゃんは。色々と楽で！」
そう言い捨て部屋を出ていく。私は、雷に打たれたようにその場から動くことが出来なかった。
「……何も知らないくせに」
私の葛藤も、絶望も、何も知らないくせに。
「私だって、こんな力、いらない」
呟いた言葉は空気に溶けて、無かったかのようだった。ゆっくりと立ち上がる。そういうのは、考えちゃいけない。
速足で食堂へ向かう。扉を開ければ私以外はそろっていて、慌てて席に着いた。佑里に軽く睨まれるが何事もなかったかのようにふるまう。めんどくさいのには関わらないのが一番。そんな時、父が口を開いた。
「A、仕事だ」
「……え？」
仕事とは何だろうか。心当たりがなく、首をかしげる。バイトをしているわけでもないし。視線で先を促せば父は口を開く。
「妖怪退治だ。蟹坊主。お前なら分かるだろう」
ブワッと、体に鳥肌がたった。蟹坊主とは、化け猫ならぬ化け蟹である。水技を使い、体の表面が固く、物理技が通りにくい妖怪だ。
「……今日？」
「ああ。しっかりと退治するんだぞ」
手が震える。殺す、か。どうしよう。出来ない。絶対に、殺せない。私がそう思ってることを知らない父は、そのまま冷たく言い放った。
「死体は浄化して消せ。いいな」
「……かしこまりましたお父様」
なんて残酷なことを。キリキリと痛む胃を押さえながら、私は部屋に駆け戻った。どうすればいいんだろう。殺せるわけがない。……一度様子を見に行こう。何とかなるかもしれない。
制服に着替え、その上にパーカーを羽織る。この村の学校は校則が緩いから着ていてもグチグチ言われることは無いのだ。
家を出て離れに行く。離れは先祖が作った結界があり、確保した妖怪をとらえることが出来るらしい。私は震える足でそこに踏み入れた。
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ペリドット(プロフ) - すいみん。さん» わー！ありがとうございます！フフッ、ラストまでよろしくお願いします。応援ありがとうございます！ (2021年9月19日 1時) (
レス) id: 3df4378748 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - もうべちょべちょに泣きました…。めちゃくちゃ好きです、妖パロ…いいです…。とても…。次回の更新も楽しみにしております、無理せず頑張ってください! (2021年9月19日 1時) (レス) id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ペリドット(プロフ) - ズイさん» 誤字指摘ありがとうございます……黒髪黒目ですねぇ…… (2021年7月28日 16時) (レス) id: 3df4378748 (このIDを非表示/違反報告)
ズイ - 夢主のプロフィールで‘‘黒髪黒髪``と、2回繰り返されているんですけどあっているのでしょうか？ (2021年7月21日 14時) (レス) id: a75775cd99 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ペリドット | 作成日時：2021年5月6日 19時
