▽ ページ20
.
「っ、強い」
思わず零れた言葉。やはり、感じ取った気の通り、コンタミさんは格上だった。おいよさんの攻撃は全くと言っていいほど通らず、ひたすらに私が守るだけになっていた。
「ふふっ、おいよさん。何も毎回うまくいくわけじゃないんだから、さっさと手を引いたら？」
「っ、うるせぇ！」
二人の会話の内容は全く分からないがおいよさんの顔が歪んだのが分かる。このまま変に精神攻撃され続けていたら死んでしまう。そして何よりも、私は早くこれを終わらせてしまいたかった。
今日は祭りのためにお父様もお母様も、佑里だって早く起床するのだ。気付かれればこの二人は捕まる可能性があるし、私の数年間が全て無駄になる。
コンタミさんが手を引く気が無いのは見て取れる。しょうがない。背に腹は代えられないし。
何とかコンタミさんの一瞬の隙をつき、軽い麻痺攻撃をする。うまく当たり、攻撃がやんだ。
「ははっ、やっぱり、今回の子は一味違うね」
攻撃されたのに楽しそうに笑う彼は不気味だった。楽しみにしてるよ、と言って彼は消えた。転移術か。一瞬で消えたのならば彼は相当の手馴れだということ。出来ればもう会いたくなかった。
「･･････A」
おいよさんが苦い顔をして、私を見る。どこか不安そうな彼を安心させるように微笑みながら口を開く。
「大丈夫、私は誰も傷つけないよ」
「そうじゃなくて」
「大丈夫だから」
その後に続くであろう言葉を聞きたくなくて、無理に遮った。泣きそうな顔を見たくなくて言葉をつづける。
「おいよさん……ありがとうね」
今まで。
その言葉を聞いたおいよさんは俯いた後、何も言わずに私を抱きしめ、少し名残惜しそうに去って行った。
ポツポツと濡れた地面には、気付かない振りをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ペリドット(プロフ) - すいみん。さん» わー！ありがとうございます！フフッ、ラストまでよろしくお願いします。応援ありがとうございます！ (2021年9月19日 1時) (
レス) id: 3df4378748 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - もうべちょべちょに泣きました…。めちゃくちゃ好きです、妖パロ…いいです…。とても…。次回の更新も楽しみにしております、無理せず頑張ってください! (2021年9月19日 1時) (レス) id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ペリドット(プロフ) - ズイさん» 誤字指摘ありがとうございます……黒髪黒目ですねぇ…… (2021年7月28日 16時) (レス) id: 3df4378748 (このIDを非表示/違反報告)
ズイ - 夢主のプロフィールで‘‘黒髪黒髪``と、2回繰り返されているんですけどあっているのでしょうか？ (2021年7月21日 14時) (レス) id: a75775cd99 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ペリドット | 作成日時：2021年5月6日 19時
