▽ ページ13
.
「……お前、正気か？」
「うん」
「何で俺がここにいるのか分かってんの？」
その問いに頷く。全部知った上で、私は彼を逃がしたかった。
しゅんさんはさっきの言った通り、風神と言う妖怪。風を司る神様なんだけど風神は風に乗っけて疫病を運んで来ると言われている。
先祖はそれを危惧したんだろう。たまたま倒れていた風神を捕獲、監"禁したそうな。まぁしゅんさん曰く、別の町との抗争の途中、倒れている所を捕まったらしい。
うちの家系は不思議で、生まれた子供には必ず妖怪を捕まえる力があるらしい。いや、正確に言うとその力を受け入れることが出来るらしい。
かねごんも、多分お父様が捕まえたんだろう。妖怪に対抗する力はないものの、捕まえることは出来る。なんとも不思議な力だ。
「……兎に角、私はしゅんさんもここから出す。だから教えて、さっき言ってた結界を壊す方法を」
「っ……しょうがねぇな」
しゅんさんは嬉しそうな、悲しそうな顔をして私に向き直った。
「まぁ簡単だ。この結界をAのものにすればいい」
「私のものにする？どうして？」
「自分のものなら簡単に解除出来るだろ？」
「なるほど、確かに……」
そうか、先代のものだから壊せないけど私のものにしてしまえば自由がきく。
結界に触れ、力を入れる。それと同時にこの空間が変化した。離れ全体を包むように私の妖力が溢れ出る。
「……」
「A?!どうしたの?!」
かねごんの心配そうな、悲痛な声が耳に届いた。それでも、集中を途切れさせる訳にはいかない。
だんだんと結界が安定してきた。張り詰めていた緊張の糸をゆっくりと緩める。試しに可視化してみると先程よりも強固な結界が誕生していた。
「……成功した。そしてこれを」
壊す。可視化したままだったので結界の壊れようが鮮明に見えた。バキバキと割れる音が空間に響く。そのまま私が触ってひと押しすると先程よりも大きな音を立てて崩れ去った。
「……出来た？」
「A、お前すげぇな」
しゅんさんが驚いたように呟く。それとほぼ同時にかねごんが私の名前を呼んだ。いや、叫んだの方が正しい？
「はーい、どうしたのかねごん」
「っ！それはこっちのセリフ！めっちゃ怖かったんだけど！」
「あー、ごめんね」
かねごんの方に行けば怒られてしまった。まぁそれを聞き流しながら牢の鍵を開ける。かねごんは恐る恐るそこから出て私に触れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 52人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ペリドット(プロフ) - すいみん。さん» わー！ありがとうございます！フフッ、ラストまでよろしくお願いします。応援ありがとうございます！ (2021年9月19日 1時) (
レス) id: 3df4378748 (このIDを非表示/違反報告)
すいみん。(プロフ) - もうべちょべちょに泣きました…。めちゃくちゃ好きです、妖パロ…いいです…。とても…。次回の更新も楽しみにしております、無理せず頑張ってください! (2021年9月19日 1時) (レス) id: 89ac922806 (このIDを非表示/違反報告)
ペリドット(プロフ) - ズイさん» 誤字指摘ありがとうございます……黒髪黒目ですねぇ…… (2021年7月28日 16時) (レス) id: 3df4378748 (このIDを非表示/違反報告)
ズイ - 夢主のプロフィールで‘‘黒髪黒髪``と、2回繰り返されているんですけどあっているのでしょうか？ (2021年7月21日 14時) (レス) id: a75775cd99 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ペリドット | 作成日時：2021年5月6日 19時
