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昨日と同じ空気、時間に私は口を開いた。
『私でよければ、お願いします。』
「え…ほ、んま、に?」
『嘘じゃないです』
結局うつ先輩には告白しない事にした。
先輩は優しいからきっと気遣ってくれる、でも結果は変わらないだろうし、ただ先輩の記憶に少し残る程度だろう。
「みんなに自慢してもええ?」
嬉しそうにスマホを握り締めるロボロ先輩に頷けば声に出しながらたどたどしく文章を作っていく。
「皆おめでとうって言うてくれてる、どうしよ、嬉しい」
はしゃぐ先輩とそれを見て微笑む私の空気を壊したのは扉の音で、扉を開けたであろう人物に私は腕をひかれていた。
「え、Aちゃ」
驚く先輩の顔を扉が遮り、私の腕を引く人物は少し離れた空き教室へと入る。
_
『_ッうつ先輩?』
「ごめん、急に引き剥がしてもて。」
昨日の夜1晩中考えてやっと諦めたうつ先輩が目の前に立っている。
それだけでも心臓が大慌てし、幸せな気持ちになってしまう。
もう私はロボロ先輩の彼女なのに。
「Aちゃん、ロボロと、付き合うん」
『なんで、私の名前…』
「知ってるよ、名前くらい。」
『でもいつも初対面みたいに、』
「ごめん」
儚げに笑う先輩はやっぱり綺麗で、カッコよくて、ずるい。
「明日告ろうと思ってた」
『誰に、ですか』
「Aちゃんに。でも先越されたな…」
『でも、綺麗な先輩と幸せそうに、』
そう言うと、思い当たる節があったようで目を見開く。
「サクラちゃんか、一昨日あの子切っててん」
『切ってた…?』
「女の子の連絡先いっぱい持ってて、全員と関係を切っててん、最後の一人がサクラちゃん。」
「こんなん言いたくないけどな、心から本気で好きになったのがロボロの後輩のAちゃんただ1人で、どうしていいか分からんかってん。」
乾いた笑みを零して頭を掻く先輩はゆるりと笑って、それから真面目な顔でこちらに向き直った。
「Aちゃんのこと好きやねん、ずっと前から。」
「ロボロと付き合っててもええ、想いだけでも受け取ってくれへんか。」
大好きな先輩に告白されているなんて脳の理解が追い付いて来ずにショートしていた。
『わたしも、うつ先輩が好きです』
_
「AちゃんAちゃん、ロボロは、」
『あ、』
廊下に出ると、ロボロ先輩が穏やかに微笑んでいた。
ロボロ先輩ごめんなさい、このあと一生分謝ります。
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