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「でもあれやね、元カノに復縁迫っとるとこを今カノに見つかるなんてとんだミラクルやね」
「A見とったん!?」
「バッチリ」
「最悪や…」
親指を立ててそう答えればうつは首を戻して地面に伏した。柔らかそうな黒髪がはらり、小さく揺れる。
少しすると地面とキスしながら呻き声をあげ始めた。私的にはこんなヤバい奴が友人だと思われたくないので今すぐやめてほしいんやけど。
「ぅぅぅ…」
「うっさい」
「ひぃ!?」
ぴしゃりと言い放ち、濡らしてキンキンに冷えたハンカチを勢いよく両頬に押し付ける。突然のことで反応しきれなかったうつは情けない声をあげた。なんでこれでモテるのか不思議でたまらない。
「うわっ、えっあっ、ハンカチ!?あ、ひんやりしとって気持ちええ…」
「それで頬押さえて冷やしとき」
自分の頬を指させば一瞬ぽかんと間抜けな顔をして、くしゃり、笑みを浮かべた。
それは他の女の子の前で見せる優しそうな大人っぽい作り笑いなんかやなくて、私の前だけで見せる、悪戯が成功した小学生みたいな無邪気な笑みやった。
「はぁーい。いつもありがとうな、A」
「はいはいどういたしまして」
その笑顔を私だけにくれるのなら、愛情も私だけにくれればいいのに。
なんちゃって。
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