色々なut先生企画・前編【w.r.w.r.d!】 (ページ22)

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親友ページ22

【冗談でも言ってあげない。】

「浮気してたなんてサイテー！」

「あんたの顔なんか二度と見たくないわ！」

女の子たちの怒り狂った声と共に乾いた音が2発、辺りに響き渡った。

その異様で珍しい光景にたまたま通りかかった人たちはなんだどうしたと歩くスピードを緩めて視線を送っていたが、女の子たちがさっさと去っていくのにつられ次々とその場を後にした。

そのため今、この小さな公園には芝生に崩れている男とその男の前にしゃがみ込んだ私以外に誰もいない。

元々この公園の近くを通る人が極端に少ないってのもあるんやろうけど。

とんとん、まるでノックをするように肩を叩いてやればそれに呼応して「なんやねん」とぶっきらぼうに声が返ってくる。

なんや、ぴくりともしないから気でも失っとるんかと思ったんに。意識あるならもうちょっと動いてよ。

「ねぇ、今どんな気持ち？」

「えぇ…もっと他に言うことあったやろ…」

「だってそんな精神的ダメージあらへんやろ？」

「身体的ダメージがえぐいわ…」

ぐぐ、そんな効果音がつきそうな程ぎこちなく首を回して私に顔を向けた彼の両頬には真っ赤な紅葉が咲き誇っていた。

「むっちゃ痛い……」

「うわぁ、見事な紅葉」

まだ秋には程遠い季節だというのに痛々しい紅葉を両頬にべっとりつけているこの男の名はクズ。

あ、違う、間違えた。いや違わないし間違ってもないけど。こいつはうつ。私の友人であり先程言った通りクズである。

どうしてクズなのかって？…まぁそれは漫画にでも出てきそうな冒頭のビンタ2連で納得するんやない？