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ピークを過ぎた12時過ぎごろ。利用者も少なくなってきたので新書の整頓をする。
『あれ？これ…』
表紙に描かれた可愛らしい女の子に見覚えがあった。ジャンルはライトノベル。図書館のパソコンからデータを引っ張って確認する。やっぱり。
『コネシマさんがいつも借りていくやつだ』
何度も難しそうな歴史書と一緒に借りられているシリーズ物。
あらすじを見れば異世界転生パロディもので、コネシマさんはこういうのが好みなのかぁ、と思いながら何気なくペラリと捲ってみる。
そして私は簡単にその世界に引き込まれていった。
『コネシマさん！』
午後の図書館。いちばん日当たりがいい特等席。真面目な顔で分厚い本を読んでいる彼に声をかける。
「おん？Aちゃんやん！どしてん？」
私は一冊の新書を差し出す。さっきラベルを貼って登録したばかりのライトノベル。
「ん？それ…」
コネシマさんは少し驚いた顔をして私と本を交互に見る。
『先程入ったばかりの新書です！さっき斜め読みしたんですけど、すごく面白くって、それで！…あっ』
つい声が大きくなってしまった。コネシマさんは笑って私から本を受け取る。
「ありがとう。持ってきてくれてんな」
『は、はい…』
小さく頷くと、コネシマさんは「じゃあこれ、借し出しで」と笑う。
『はい！』
私は笑って返す。柔らかな光が射して、程よく暖かい風がカーテンを揺らす。
静かな図書館に笑い声が響いた。
「あれ、シッマ異世界魔法少女てぃんくる読んどったん？」
遊びに来た大先生が俺の本棚を眺めて言う。
「魔法少女…なんて？」
「いや、これやん」
大先生はそう言って棚から抜き取った一冊の本を俺の目の前に差し出す。
「ああ、それか」
背表紙には行きつけの図書館の貸し出しシールが貼ってある。
元々は、活動に必要な情報を仕入れるために本を借りていただけなのだ。だが、彼女に出会ってからはそれだけじゃなくなっていた。
「いや、ライトノベル読んどる男って軽そうやん？」
親しくなる必要があった。彼女がエミさんに個人的な話をしないのは知っていた。それは、彼女の中で尊敬がいちばん勝っているから。
「いやぁ〜まさかこんな上手くいくとはねぇ」
知りもしないし読みもしないライトノベル。彼女が息を弾ませながらこれを持ってきたのには驚いた。
ぺら、とページを捲る。『感想、聞かせてくださいね！』と手書きのメモ。一番最後に書かれたA、の文字。
彼女の健気さと今の状況に頬が緩む。
だって、俺は
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