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聞き覚えのある声にくるりと振り向けば太陽のように眩しい笑顔を向ける先輩の姿。
「驚かさないでくださいよ…」
「いやぁすまんすまん！」
軽く謝った後、あんな驚くと思わんかってん！と付け足す。
さてはこの人、謝る気ないな？
「そんで、何しとるん？」
「あぁ、ちょっと雨宿りですよ。傘忘れちゃって」
買い物してたんですけどね、と袋を見せればなるほどなぁ、なんて呟く先輩。
いやそんなに見つめられても何もあげられませんよ。あげるなら明日だし。
「俺は部活帰りなんやけど」
「見たら分かりますね」
「急に降ってきたから驚いてなぁ、咄嗟にここ入ったらお前がおるやんか！それはもう声かけるしかないなと！」
ふふん、鼻を鳴らしてドヤ顔をかましてくる。
なんだろう、飼い主に褒められたい犬によく似ている。
「先輩はいつ帰るんですか」
まだ雨は止みそうにないなぁ、なんて思いながら聞いてみる。先輩は傘持ってるし今から帰るんだろな。
「今から帰るで」
あ、やっぱり。だってもう傘構えてるし。
先輩の瞳の色と同じ、淡い水色が咲き誇る。
綺麗な色。私の好きな色。
ぼうっと開かれた傘を眺めていると、先輩に声をかけられた。
「何しとるん、行くで」
「え、行くって」
「はよして」
ぶっきらぼうに言い切った先輩の左半分が空いている。
ここに入れってことなのかな。
おずおずスペースに収まると素早く買い物袋を奪われた。
え、驚いて先輩の顔を見上げるがこちらを見向きもしない。
「せんぱ、」
「お前ん家ってこっちやんな？」
「あ、はい」
返事をすれば短くそうか、と呟く先輩。
ゆったりとした足取りで歩き始める。
もしかしてこれって私の歩幅に合わせてくれてる？
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