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「お待たせいたしました、ご主人様♡ふわぴよ♡たまごのオムライスをお持ちしました！……えーと、グリーンピース入れられなくてごめんなさいっ」
真顔なご主人様にそう声をかけると、ご主人様は前のめりでこっちを見た。
「グリーンピースある方が美味しいやん」
「私もそう思います」
思わず平坦にそう言ってしまった。イケメンの至近距離はちょっとびっくりする。
「ではご主人様〜！今からケチャップで、オムライスにお絵かきします！」
「はい」
テンションが低いですご主人様！
メイドカフェに一人で来てる人のテンションじゃないよ。でもめちゃくちゃ手元見てらっしゃる。なにこのプレッシャー、手が震える！
「うまいやん！」
「あっ、ありがとうございます！」
ご主人様の声のトーンが上がった。新人メイドカフェ店員には励みになります。そう思いながらお顔を見ると、笑顔のご主人様。
正直ときめいた。
「それではぁ、美味しくなるおまじないです！ご主人様も、一緒にやってくださいね♡手を前でハートマークにして、」
「なんで表でやんねん」
「へ」
またこのご主人様、なにか言い出したよ。
さっきのときめきはどこへ、この人やっぱ面倒くさい客だ。
「美味しくなるおまじないまでが料理やないんか」
「は、はい、そうです……？」
「厨房でやって来んかい！」
「そんなことあります！？」
ここ、メイドカフェだよ！？わかってる！？
「あっ、あの、あの……メイドとのやりとりも、ご主人様に楽しんでいただくために、一緒にやっていただいています……！」
新人には荷が重すぎる。
「そうか、なるほどなぁ。うん」
深くうなずくご主人様。納得していただけただろうか。
「それではぁ、ハートマークを前でつくって、こう動かします！せーのっ、萌え萌えきゅん♡」
「萌え萌えきゅん」
やってくれるんだ！？
衝撃的過ぎて思わず黙って凝視してしまった、危ない。
「これで完璧です！愛のちからで、とーっても美味しくなりました！ごゆっくりお召し上がりくださいね♡メイドたちにもお気軽にお声かけください！」
そう言って、ご主人様から距離を取った。顔はいいし、萌え萌えきゅん一緒にやっているのも少しときめいた。けど、態度は結構冷たい。
いつまでもそのご主人様ばかりを見つめている訳にはいかない。違うご主人様に呼ばれ、そっちの席に駆け寄った。
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