【ハイキュー】飴玉とキミ。【短編集】

べっこう飴【赤葦京治】 ページ3

『けーいじっ！』

『けいじぃ。。。』

『京治???』

『京治っ!!!』



どこからか聞こえる声。

でも、どこか遠くの方から聞こえてくる。



そういえば、

『おはよう!京治!!』

『今日はまだ眠たいの?』

とか

『京治ー宿題写させて、お願いっ』

とか

『 世界で１番好きだよ、京治 』

とか、まだ記憶に新しい会話が頭の中をぐるぐる回る。



でも、今はその声を発する人はもう居なくて


彼女は最後に俺にこう言ったんだ


『私はもうそろそろいなくなると思う。

もしいなくなったら私の事は忘れて新しい人を見つけて幸せになってね』


と、病室の無機質な白のなかで俺の目を見て涙目で言ったんだ。


そして、数日後 彼女は俺の前からいなくなった。


俺は彼女がいなくなってからの1週間はずっと、


「どうして、ｯ」

「俺の前にまた現れてくれ…ｯ」


などとずっと願っていたが、時間がどんどん過ぎていくうちに彼女のいない日々が当たり前になっていった。



いつかのあの愛おしい俺を呼ぶ声も、

抱きしめたときに香るあの香りも、

キスをした感触も忘れてしまうのだろうか。



彼女と過ごしたあの思い出たちはセピア色の綺麗な黄色になって忘れていくのかもしれない。



でも、今はまだ鮮明に覚えている彼女との時間を思い出しながら1日1日を死ぬ気で生きようと思う



再会まで長くなるとは思うけど、そこで見守っていてほしい。



またね、A

俺が迎えに行くから待っててね





＊赤葦京治 べっこう飴 ＊

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