【文スト】生きてこそ

逢引キノ誘イ・弐 ページ20

何がしたいんだこの人は！？と思わず口に出しそうになったが、心を落ち着かせる。あの人は上司、あの人は此の組織の頭・・・。こうでも思わないとあの人が唯のロリコンにしか見えなくなる。
しかし、断ってもひどいと言われ、じゃあ行きますと言うと減給すると横暴なことを言われ・・・


「もう！シュウセイ、携帯ばっか見ないで私の話を聞いてよ！！」

「す、すみません・・・



あの、お嬢良かったら首領(ボス)もご一緒にどうですか？」


念のためお嬢に聞いてみることにした。"二人で"とわざわざ言った、というのは俺の思い違いで実際は特に意味なんて無いのかもしれない。さりげなく首領(ボス)いるの方にちらりと視線を向けると何度も頷いてるのが見えた。どうやらこれが言いたかったらしい。
あとは、お嬢の了承を得るだけだが。


「嫌よ、絶対に嫌。」

「・・・え、何でですか？」

「だって、リンタロウってばいつも私のお洋服ばっか回りたがるんだもの。甘いものが食べたいって言っても、もう一軒だけもう一軒だけって・・・。
一軒や二軒ぐらいなら私もいいんだけどそう何軒も連れまわされたら疲れるわ。
その点シュウセイは私の行きたいところにきちんと連れてってくれるから楽よ。」


ちなみにリンタロウというのは首領(ボス)のあだ名みたいなものだが・・・
それより俺はどうすればいいのだ。
正直お嬢の言ってる事は正論だし、本気で嫌がってる彼女に無理やり強要するのも気が引ける。
かといって、首領(ボス)を無視してもあとあと怖くなりそうだ。


「・・・首領(ボス)と一緒に行ったら良いことありますよ。・・・多分(ボソッ」

「何よ。」

「・・・」

「具体的にどんな良いことがあるの？」


具体的に・・・なんだ？
言ったはいいもののいざ、何だと問われると何も思いつかない。
いや、首領(ボス)の尊敬すべき点はいろいろあるのだ。
が、ことお嬢の前では唯の変態にしかならない気がして何も思いつけずにいた。


「ええーと・・・その」

「・・・」

「・・・お金があります！！」

「え、徳田君？(ボソッ」

「僕と違ってお金があるんで、いいもの買ってくれますよ！！」

「・・・そうね、確かにシュウセイって貧乏よね。」


自分で言ったことだが、人に言われるとなんか傷つく。
まあ、一応お嬢からの了承は得られたと言う事で良いのだろうか。
安堵する反面説得の仕方に対する首領(ボス)の反応が気がかりになってきた。

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