♯ ページ43
人間、大切なのは諦めと開き直りよ。場地さんの頭の悪さは並みじゃない、ここに時間を割くのは無駄だからさっさと焼き鳥屋に行こう。
さきほど私が痛いからと言って離された手を、今度は私から掴みに行く。これくらいの下心は許されてもいいよね? 私の仕事場から歩いて十分くらいのところにある焼き鳥屋目指して二人で歩く。午後二十時になった街のイルミネーションは最高潮で、周りはカップルばかり。知らない人から見たら私たちもカップルに見えるんだろうな。
「熱燗飲みたい」
「色気ねェな」
「私は色気より食い気なのー!」
「知ってる」
「でしょ? あ、ほら! 見えてきたよ!」
あそこあそこ! と、はしゃぐ私に引きずられるようにして腕を引っ張られる場地さん。ちょっと苦笑いをこぼしながら「ンな急がなくても焼き鳥逃げねーし」とド正論をかまされた。確かにそれもそうなんだけどさ、私はもうお腹がペコペコなんですよ。
店の外にまで漂っている焼き鳥のいい匂いに誘われるよう、店内へと足を運ぶ。中からおじちゃん店主の活気ある声が聞こえてきて、私のテンションも最高潮! よっしゃ食べるぞー! と目を輝かせる。
「おじちゃん! 来たよ!」
「Aちゃん! いらっしゃい。今日はずいぶん男前な人連れてるな」
「でしょ? オマケしてよ」
「美人なお姉さんならなー」
「ちょっと場地さん、今から女装してこよっか? 絶対似合う気がする」
「オマエは俺を何だと思ってンだ」
場地さんに真顔で言われてしまい、ちっと小さく舌打ちをする。「舌打ち聞こえてっからな」と言われた気がするけど、きっと気がするだけだ。うん。
おじちゃんに案内されて、カウンター席の一番端へと移動する。ここの焼き鳥屋さんが大好きでよく来るんだけれど、空いているときいつも端のカウンター席に通してくれるおじちゃんはとても優しい。いつもありがと。
「おじちゃん、いつもの!」
「はいよ。兄ちゃんはどうする?」
「あーAちゃんと一緒ので」
「えっ、内容わかんないのに一緒でいいの?」
「おー。Aちゃんがうまいつったモンだいたいうまいから」
そう言いながら笑った場地さんと私の前に熱燗が差し出されて思わず「わあ!」と感嘆の声が私から上がる。続いてぼんじりにねぎま、せせりが出てきたので熱燗を自分のと場地さんのお猪口へと注ぎ入れる。はい、おいしい。もうおいしい。
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むつひら(プロフ) - かさごさん» 全裸待機ありがとうございます!遅くなりましたが帰ってきますー!待っていただけて嬉しいです😭✨ほんとにほんとにありがとうございます! (2022年1月13日 22時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
かさご - 全裸で全力で待ってました!!!!ありがとうございます!!!!お帰りなさい!!!!(誰) 初コメ失礼いたしましたm(*_ _)m (2022年1月13日 17時) (レス) id: b2136fe961 (このIDを非表示/違反報告)
むつひら(プロフ) - 星海さん» 気遣っていただきありがとうございます😭✨完結に向けて少しずつですが更新していきます!大好きって言ってくださる星海さんが大好きです!ありがとうございます! (2021年12月29日 19時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
星海 - 面白くて大好きです!ゆっくり、ゆっくり無理せずに投稿してくださいね!楽しみにしてます! (2021年12月29日 8時) (レス) id: d3e10c9f88 (このIDを非表示/違反報告)
むつひら(プロフ) - しろんさん» とても好きありがとうございます!必ず続きあげますので、お待ちください✊続きも面白いって思ってもらえるようにがんばります! (2021年12月27日 23時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むつひら | 作成日時:2021年11月12日 16時