佐伯のバレンタインデーの話 ページ9
サエが止めにきて一番に思ったことは、
「………サエ、チョコレートは？」
「ああ、あれ全部断った。チョコレートは、好きな子からだけでいいかな、って」
「そ、そう…？」
「A、ちょっと来て」
「っわ、ちょちょ、待ってよサエ！」
そう言ってサエは私を、人通りの少ない階段の前まで連れて行く
「…………このチョコレート、誰に渡すつもりだったの？」
「えと、サエ、だけど」
「じゃあなんで他の奴に渡そうとしてたの？」
「や、だってサエ、いっぱい貰ってたじゃん。………机もすごかったし。あんなに貰ったら食べるのとかさ、大変じゃない？」
「………去年も一昨年もくれたのに」
「そ、それは今年の数が尋常じゃないって思っただけだって！」
これは本当のこと。去年や一昨年とは比べものにならないほど多かったし。
「……俺、Aからのチョコ楽しみにしてたんだけど」
そう言ったサエの顔はいつもの笑顔ではなかった。落ち込んだ表情は子犬のようで、少し心が痛む。
いや、駄目だ駄目だ。甘やかしてはいけない。
「もー、いいでしょチョコの一つや二つ！貰えなかった奴のことも考えなって」
いつもの調子で、おふざけ程度の感覚だったのに
サエは真面目な顔で私を見る。目を逸らそうとすれば肩を掴まれ、頑なに離そうとしなかった。
「Aは俺の為に作ったチョコを、そんな理由で他の奴にあげるの？」
ものすごい迫力で問い詰めるサエ。これには私もお手上げで、諦め半分でどうぞ、とチョコレートを渡す。
「何か言うことは？」
「……チョコ他の人に渡そうとしてすみませんでした？」
そう答えれば不服そうに頬を膨らませる。いや、ほんとにわかんない。頭の上に？を浮かべていれば、呆れたように溜息を吐かれる。正直腹が立った。
「はは、ご立腹？……好きです、じゃないの」
一瞬何事かと思った。まさかあの六角一鈍感と有名なサエが、私の恋心に気付いていたとは。
停止した思考回路が再び働き出したときには顔は熱くなっていて、羞恥心よりも怒りの方が湧いていた。
その後の私はサエをチョコレートで殴り気絶させていたらしい(いっちゃん談)
*************
サマバレ、すごいです！サエさん4位でしたね！嬉しい！
白石も9位で、10位内に入ってた！やった！！
不動峰が皆入ってましたよね！！ほんとにすごい！
とりあえずおめでとうサエさん！これからも頑張って！！
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作者名：かもめ | 作成日時：2018年8月6日 22時
