佐伯のバレンタインデーの話 ページ8
今日は待ちに待ったバレンタインデー
私も勿論チョコレートを渡すつもりだ。
「おはよう!サ」
「おはようございます佐伯先輩!これ手作りなんですけど、」
「サエ−!チョコレートあげるー!」
「佐伯くん!」
サエが学校に着くと同時に待ち伏せていた女の子達が一気に駆けつける。
標準よりも少し小柄な体型の私はいつの間にか女子の集団から離れたところにいた。
「ううぅ…………」
「A、大丈夫なのね?」
「いっちゃん………!」
突き飛ばされた私に声をかけてくれたいっちゃん。手を引いて立ち上がらせてくれる。
「ありがと、いっちゃん」
サエがとてつもなくモテる、というのは私もよく知っていた。なんせ、千葉のロミオと言われるほどだからね。毎年すごいけど今年はここまでとは思わなかった。去年の二倍近くいるよ。怖。
「はぁ……あ、いっちゃんにも作ってあるよ。あげるね。
……本命よりはちょっと小さいけど」
「嬉しいのね!大事に食べるのね…!」
「あはは、傷む前に食べてね?」
「あー!A先輩!僕も欲しい!」
「剣太郎くんの分もあるよ。はい」
「やったー!」
サエには渡せなかったけど二人の喜ぶ顔が見れたし、まあいいか。
いっちゃんと別れて自分の教室に入る
「………うわ」
サエの机には大量のチョコレート。嫌でも視界に入ってしまう。
写真を撮ったりしてはしゃぐ男子の横を素通りし、席に着く。
「なあ、サエの机すげえよな」
「………思った。」
隣の男子が話しかけてきた。あんまりその話しないで………!
「そのでけえチョコ、サエにだろ?渡さねえの?」
「ん?……あー、なんかもういっかなーって」
「えー!じゃあくれよ!俺まだ一個も貰ってない〜」
「同情するよ」
そう言って半ば諦めていたチョコレートをあげた。いや、正確にはあげようとした。
「ちょっと待って」
「………サエ」
さっきまで女の子に囲まれていたサエが、私の腕を掴んでいた
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作者名:かもめ | 作成日時:2018年8月6日 22時