【テニプリ】短編集の王子様 (ページ5)

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ブン太が恋をする話ページ5

今まで付き合ったことは何回かあった

しかしそれは相手が俺に対して一方的な好意をもっていたからで、俺は『好き』とかそういう感情は無かった。
だからなかなか続かず、付き合っても全員すぐに別れるのがオチだ。
ずっとそう思っていたのだが

「それより今日も暑いのう、Aちゃん」

「ふふ、暑いの苦手だもんね、まーくんは。」

一緒に登校してきたのか、後ろから俺と同じクラスの仁王が女子ととても楽しそうに喋っている。珍しいこともあるもんだな、と思いながら仁王に挨拶がてら女子の顔を見てみる。

「はよ、仁王………」

………………????

え？………は？ん？ん？

女子の顔を見た瞬間、自分の動きが止まるのがわかる。
そして真っ先に出てきた言葉は

かわいすぎる

なんか、この世のものではない気がした。すごい天使天使してる感じ。意味わからん。
とりあえず悟られないように急いで平然を装って、その女子に話しかける。

「……なあ、お前仁王と仲良いのか？」

「おはよう、えっと、丸井くん？だよね。うーん、仲……良いのかな？」

「とっても仲良し」

仁王が頷きながら肯定する。や、やっぱりか………
すると、俺が落ち込んでいる様に見えたのかその女子は俺の手を握り、

「じゃあ、丸井くんも仲良しになろう！！！私Aって言うんだけど、」

カッと目を見開き、興奮状態で言ってくる

「あんまり友達がいないから友達増えるのすっごく嬉しい！！お願い！友達になって………くれないかな……？」

身長の問題で自然と上目遣いになっている。キュンキュンしてるとAの後ろにいた仁王の殺気がやばいことに気付いた。

「お願い！！友達！！なろう！！？」

「いや、ちょっ、まっ」

「丸井くん！！優柔不断はよくないよ！！」

余程友達が欲しかったのか、返事をなかなか出さない俺に凄い勢いで近づく。ちょ、近い近い、可愛い

「丸井くん！！」

「ブンちゃん……」

Aは目を輝かせながら、仁王は俺をクソ怖い顔で見ながら名前を呼ぶ。てかめっちゃ騒ぐ。う、うるさい

「二人とも、少し落ち着けよぃ！！」

すると二人はスン………と静かになった。怖っ。

「Aは友達になるからもう少し離れてくれ…」

「え！やった！！あ、ごめんね」

「仁王は後で話を」

「タイマンじゃ」

「やめて」

こうして俺の初恋はよくわからない形で始まった。