第81話 ページ22
*
「……ならお前はアカデミーに戻っても構わないのか?」
そう言われてピタッと歩を止める私。
『……まさか。せっかく下忍になれたのに、そんなにやすやすとアカデミーになんか戻っていられませんよ』
「ならなぜ敢えてオレからスズを取ろうとしない?」
真剣な声色でそう問われる。……本当はこの演習の本当の意味に気がついているだなんて言いたくないけど、ここまで追い込まれちゃ仕方がない。
『……だって、分かりきってるじゃないですか。
・・・・
私一人でカカシさんからスズを取るだなんて、無理な事だって』
そう、カカシさんを見ずにできるだけ遠回しに答える。
するとなにかを察したかの様に、僅かに私のその言葉にカカシさんが反応を示したのが分かった。
……流石に気づかれたようだ。
「……A、お前本当はこの演習の本当の意味に気がついてるだろ」
『……さーてなんのことやら!』
そう言って笑顔でカカシさんを振り返る。その時に見たカカシさんの表情は、何故だかどこか確信した様な表情をしていた。
すると遠くの方から目覚まし時計の鳴る音が聞こえた。どうやら時間切れのようだ。
『…時間ですね。私はもう戻ります』
そう言って未だに立ち尽くしているカカシさんを置いて、いつも通りの様子で歩きながら丸太の所へと戻る私。
そんな私の姿を、何故かカカシさんは見えなくなるまでずっとそのまま見つめていた。
目覚まし時計が置かれている場所へと戻る。するとそこには丸太に縛り付けられたナルトの姿があった。
あ、やっぱりばれたのね。だから言ったのに……そう思いながら、ナルト声を掛ける。
『ほらね、だからばれるって言ったでしょ?』
「くっそー!あっ!さてはAばらしたな!?」
『はぁ?ばらすわけ無いでしょ。ナルトがどんくさいだけ』
「なんだとーーーっ!?」
そういってじたばたと暴れ怒りを表すナルト。が、縛られている状況ではそれも無意味。な、情けな……
彼には悪いが、心の底から素直にそう思った。
234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「トリップ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
色葉 - 星月夜*ミルトニア[3DS]さん» キャー!!嬉しいですありがとうございます!これからも更新速度保てるように頑張ります! (2017年9月5日 21時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
星月夜*ミルトニア[3DS] - 続編おめでとうございます!更新も早いし、話も面白いので読んでいて楽しいです! (2017年9月5日 20時) (レス) id: 4d66220430 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:色葉 | 作成日時:2017年9月5日 18時