第78話 ページ19
何者かによって、私の首筋に当てられるクナイ。
その犯人は、もちろんカカシさん。
予想もしていなかった出来事に、驚きのあまり声すら出なかった。
すると目の前の私が捕らえていたカカシさんが、先ほどの私の影分身と同じようにぼふんっと音を立てて消えてしまった。
……そこまでして、漸く現在の状況を理解した私。
『……ええっ!?あっ…あーーーっ!そういうことか!!くっそやられたァ!!』
「ははっ形勢逆転ってところか?」
そう言うと完全に諦めた私をみて、クナイを下ろすカカシさん。
『はぁあ!?なにそれ!えぇちょっと…それはナシですよ……』
そういってげんなりと落ち込む私。くっそー!絶対に上手くいくと思ってたのに!!
はぁぁと溜め息を溢す私とは裏腹に、にこにことした笑みを溢すカカシさん。
「いやまぁ、流石のオレも驚いたよ。まさか影分身を使ってくるとはねぇ…でも、あの様子を見る限りじゃ出せるのは一、二体。時間もわずか数分ってところか?」
『え、なんで知って……』
そこから、カカシさんによる私の今回の戦略の推理が始まった。
「そもそも、お前が影分身を習得しているってのは、一番はじめのトラップの時点でうっすらとだが気づいていた」
『え!?そうだったんですか!?』
「まず第一に、お前が俺から距離をとった時点で少し怪しいと思ったんだ。確かにトラップを発動させるためにその場を離れたんだろうが……でもそのあと、全く正反対の方向からクナイ飛ばしてきたろ?」
『は、はぁ……』
カカシさんの観察力の凄さに圧倒される私。呆然としている私を他所にカカシさんは続ける。
「最初はそのクナイもトラップによるものだと思ってはいたんだがな。当時のお前の位置からあんなに正確にオレを狙ってしかも正反対からクナイを飛ばすなんて、流石に無理があるんじゃないかと思った。そこでオレが考えたのが…」
『…私の影分身による仕業、と……』
「そ。お前の影分身がクナイを投げている間に、オリジナルのお前はオレの死角へと移動した。そしてそのまま、オリジナルとの体術戦だ。
クナイの飛んできた方向から人の気配は感じられなかった。恐らく影分身は持続時間が短いんだろうな……クナイを投げ終えた瞬間、多分そのまま消えたんだろう」
『………』
凄い、完全に全部読まれてる。この人本当に恐ろしい人だ……
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色葉 - 星月夜*ミルトニア[3DS]さん» キャー!!嬉しいですありがとうございます!これからも更新速度保てるように頑張ります! (2017年9月5日 21時) (レス) id: 53b50fa5d1 (このIDを非表示/違反報告)
星月夜*ミルトニア[3DS] - 続編おめでとうございます!更新も早いし、話も面白いので読んでいて楽しいです! (2017年9月5日 20時) (レス) id: 4d66220430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:色葉 | 作成日時:2017年9月5日 18時