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朝、さわやかな風と小鳥のさえずりに混じってけたたましい目覚ましの音がAの耳に入ってきた。
「……うっ、るせ」
片手で窓から差し込む光を遮りながら、もう一方の手で目覚ましを止める。すると、静寂が部屋に戻った。
つい数日前まで弟に起こされるという、せわしない朝を送っていたせいで、静かさが耳に余った。今日から学校かとため息をつく。
今年からAは二年となる。
「そういえば、あいつ来るって言ってたっけな……」
あいつとは、幼馴染である。同じダンススクールに幼少期から通っていたあいつをこの学園にさそったのはAだ。
九瓏ノ主学園では高校からの外部入学も推奨しているのだが、あいつの頭はいかんせん出来がよろしく無いため数日前までは勉強漬けの日々を送っていた……らしい。
考え事をしながら制服に着替え、身支度を整える。鏡の前で、自分のトレードマークになりつつある髪型に前髪をピンで留めていると、寮の部屋のインターホンが鳴った。
「……あいつ来るの早すぎだろ、朝ごはん食ってねえって」
時計を見上げると、まだ登校するには十分の余裕があることが見てとれる。
しかしドアの前で待たせるのもあれなので、部屋の中に招き入れることにした。
「おはようございます、A!」
「ああ、はよ。お前くんの早すぎだから」
「え、そうですか?」
初めて喋ったときに一応Aの方が年上だということで使われている敬語はいつ外れるのだろうと疑問に思いながらも、今も継続中である。
先程も言ったようにAとウィトは幼少期から同じダンススクールに通っており、Aが自分より後に入ってきたウィトになにかと気にかけている内に仲良くなったのだった。
「俺、朝ごはんまだなんだけど」
「僕もまだです」
「……は?」
「どうかしました?」
食ってからこいよとため息をつきながら、ウィトの分も朝食を用意してやる。
「言っとくけど、トーストだけだかんな」
「えー、僕和食が良いなあ」
「黙って食え！」
むくれるウィトと簡易的な朝食を済ませる。食べてる間に期限が治ったウィトが喋っているせいで、食事中も煩かった。
「んじゃ、そろそろ出るか。ウィト、忘れ物は無いだろうな?」
「はい、完璧です! というか、今日は授業無いんで忘れる物がないですけどね」
二人は軽口を叩きながら部屋を出た。
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ウィトっちって高校からの外部入学なんでしょうか……？ｗ
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